疲労解析の重要性〜ANSYSの疲労解析ツールについて〜

目次

疲労評価とその重要性

疲労破壊とは、『繰り返し荷重が作用することにより、徐々にき裂が進行し破壊に至る現象』ですが、図1にあるデータによると部品破損の80%以上が疲労破壊に依存していることになります。


図1 破損の原因別分類

また、この疲労破壊により以下の例のように今なお重大な事故が発生し、尊い多くの命が奪われている現実があります。

  • 1985年 日本航空機墜落
  • 1998年 ドイツ超高速列車ICEの脱線転覆
  • 2007年 遊園地「エキスポランド」ジェットコースター“風神雷神U”脱線

疲労破壊の一般的特徴は、『繰り返し荷重』により発生することにあり、静的破壊強度あるいは降伏応力以下の荷重負荷においても発生します。これは疲労破壊において、静的構造解析による応力評価では不十分であることを示します。今後、疲労破壊を引き起こさないためにも、各部品に対する疲労寿命の発生予測を行うことは部品設計を行う上で非常に重要なことになります。本記事では、疲労評価の重要性を認識しながらも、疲労評価(疲労解析)を実施されたことがない方に対し、「事前準備として必要なデータは何か」から「疲労ツールではどのようなことまで評価できるのか」までをANSYSの疲労解析ツールの機能を交えてご紹介いたします。

疲労解析を使用する前に必要なものは?

一般的に疲労解析を実施するためには、以下のデータおよびツールが必要となります。

  • 静的構造や周波数応答による解析結果
  • 疲労強度データ(S-N曲線、ε-N曲線など)
  • 疲労解析ツール

まず、疲労評価を行うためには、対象となる構造物にどの程度の応力が繰り返し作用するかを確認する必要があります。これを提供してくれるのが、静的構造解析や周波数応答解析が実施可能な有限要素解析ツールとなります。

そして、これらの応力がどの程度繰り返された後、疲労破壊に至るのかを評価するために疲労強度データが必要となります。疲労強度データは、疲労試験にて取得しなければなりませんが、疲労解析ツールの中にはあらかじめ疲労強度データベースを備えているものもあります。また、弊社では2012年10月より疲労材料データベースである『CYBERNET KEY to METALS』の販売を開始しました。是非ご活用頂ければ幸いです。『CYBERNET KEY toMETALS』の詳細につきましては、本特集の後半に掲載されている“材料物性値の取得について”をご参照ください。

3つ目に疲労解析ツールです。上記の(繰り返し)応力、疲労強度データがあれば簡単な疲労評価は可能です。しかし、繰り返し作用する応力の複雑さは、使用される部品や構造物により様々で簡易的な疲労評価では不十分となることが多々あります。汎用の疲労解析ツールでは、疲労の要因である“切欠き”や“表面粗さ”などに対応した機能や“振動疲労”、“溶接疲労”などより高度な疲労評価を行うことが可能です。

>>次ページ:ANSYS社が提供する疲労解析ツール

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