ANSYS Mechanical HPCによる大規模計算
〜 Windows HPC Server2008とRed Hat Enterprise Liux5.3によるベンチマーク比較 〜

はじめに:
4ノード以下のクラスターでも、Linuxのほうが効果的?

89.2%。この数値はTop500 *1 に掲載されているスーパーコンピューターの内、2009/11時点におけるトップから500位の中に占めるLinux Familyの割合 *2 を示しています。
この数値の高さは元々Linuxがネットワーク機能の豊富なOSであることに由来しておりますが、4ノード以下の手頃なクラスターを構築したい場合でもLinuxの方が良いのでしょうか?
そこで今回は、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC:High Performance Computing)用 OS としてリリースしている、Windows HPC Server2008 *3 とRed Hat Enterprise Liux5.3 *4 を用意し、ANSYS Mechanical用ベンチマークモデルの計算時間を比較しました。

使用した解析モデル

今回は、ANSYS社が提供しているANSYS Mechanical用の大規模ベンチマークモデル7点を利用しました。内容は構造系が6件、伝熱系が1件です。また自由度(DOF:Degrees of Freedom)は0.5MDOFから5MDOF程度、ソルバーは領域分割法(Domain DecompositionMethod)を組み込んだ直接法(Distributed SPARSE)と反復法(PCG:Preconditioned Conjugate Gradient)を利用しています。
モデルの概要を以下に示します。

(1)BMD-1 Universal Joint

モデル概要 静的構造解析
ソルバー DSPARSEインコアモード *5
節点数 135,869
要素数 94,956
自由度 407,607
要素タイプ 高次四面体ソリッド
(SOLID92, TARGE170, CONTA174)

(2)BMD-2 Gas Structure

モデル概要 定常伝熱解析
ソルバー JCG
節点数 1,166,497
要素数 850,092
自由度 1,166,497
要素タイプ 高次四面体ソリッド
(SOLID92, TARGE170, CONTA174)

(3)BMD-3 Carrier

モデル概要 静的構造解析
ソルバー PCG
節点数 698,295
要素数 481,218
自由度 2,094,885
要素タイプ 高次四面体ソリッド
(SOLID92, TARGE170, CONTA174)

(4)BMD-4 Suspension

モデル概要 静的構造解析
ソルバー DSPARSEアウトオブコアモード *6
節点数 1,063,549
要素数 692,392
自由度 3,190,647
要素タイプ 高次四面体ソリッド、高次六面体ソリッド
(SOLID186,SOLID187, TARGE170,CONTA174, COMBIN14)

(5)BMD-5 Block with Holes

モデル概要 静的構造解析
ソルバー PCG
節点数 1,958,988
要素数 469,259
自由度 5,876,964
要素タイプ 高次六面体ソリ

(6)BMD-6 Wing Model

モデル概要 構造固有値解析
ソルバー LANPCG
節点数 333,431
要素数 298,471
自由度 1,000,293
要素タイプ 低次六面体ソリッド
(SOLID45)

(7)BMD-7 Wing Model

モデル概要 静的構造解析
ソルバー PCG
節点数 1,668,150
要素数 1,575,630
自由度 5,004,450
要素タイプ 低次六面体ソリッド
(SOLID45)

ハードウェア構成

今回使用したハードウェア構成を下記に示します。

ノード数 8
CPU Intel Xeon X5570(2.93GHz,4core)×2ソケット
コア数 8
搭載メモリ容量 4GB DDR-3 1333ECC REG×12 48GB /ノード
HDD SATA250GB×2 RAID 0 /ノード
OS1 Windows HPC Server2008
OS2 RedHat Enterprise Linux 5.3 em64t
インターコネクト Gigabit Ethernet ×2ポート
MPI HP-MPI
ANSYSのバージョン Release12.0

※ハードウェアご提供元:HPCシステムズ株式会社

結果

OSの差は、ノード及びコア毎に比較することができます。今回は一例として2ノード2コアと4ノード4コア(1ノード当たり1コア使用時)の結果を図8及び図9で示します。これらの図はWindowsHPCとLinuxにおける計算時間を比較したグラフであり、横軸はベンチマークモデル番号、縦軸は計算時間です。図8はOSの差が見られず、Windows HPCでもLinuxと遜色の無い結果が出ています。
いっぽう図9はbmd-4とbmd-5のみOSによるばらつきが見受けられます。
今回のベンチマーク結果より、モデルに依存してOSの違いが現れる可能性は否定できませんが、数ノード構成のクラスターであれば、Windows HPCもLinuxと遜色のない環境を構築できると考えられます。


図8 2ノード2コア環境によるWindows HPCとLinux BMDベンチマーク結果


図9 4ノード4コア環境によるWindows HPCとLinux BMDベンチマーク結果

最後に

ANSYS社の大規模計算のためのソリューションは、バージョンアップ毎に進化しています。今後も本誌や各種イベント、Webサイトなどを通じて、継続的に情報発信していきますのでどうぞご注目ください。

 

*1 Top500
世界中にあるスーパーコンピューターの処理速度をランク付けするプロジェクトであり、半年に1回更新しております。
*2 Top500.Orgによるオペレーティングシステムファミリの割合(2009/11現在)
Title: Operating system Family share for 11/2009
*3 Microsoft Windows HPC Server2008
http://www.microsoft.com/japan/hpc/default.mspx
*4 RedHat Enterprise 5
http://www.jp.redhat.com/rhel/server/
*5 インコアモード
全マトリクスをメモリに格納して計算を行うモード。
*6 アウトオブコアモード
マトリクスが大きいため、メモリに格納できず、一部をHDDに格納するモード。

 

関連ページ


当社発行誌「CAEのあるものづくり」は、CAE技術者の方や、これから解析を行ないたい設計者の方を対象としたWEBマガジンです。年2回(春、秋)発行し、ANSYSシリーズを始めとした各種CAE製品紹介はもちろん、お客様の解析事例紹介やインタビュー記事、解析のテクニックなど、スキル向上に役立つ情報をご提供しています。
詳しくは、WEBマガジン「CAEのあるものづくり」をご覧ください。

関連セミナー

CONTACT US

ご購入・レンタル価格のお見積り、業務委託についてはこちら。

お問い合わせ

ページトップへ