リバースエンジニアリング&医療工学における解析へのアプローチ

目次

形状修正・メッシュ作成/修正ツール ANSYS Extended Meshing

ここでご紹介するのは、ファセットデータ取り扱いに優れたメッシュ作成 ツール ANSYS Extended Meshingです。このツールを利用し て、スライスデータから作成したSTLデータを解析できる形状・メッシュまで 導くことが可能となります。 まず、このSTLデータの問題点を挙げてみましょう。

  • CT値の微妙なズレにより不要な部分が含まれている(または必要な部分 が欠けている)場合がある。
  • サーフェスとサーフェスがオーバーラップしたような矛盾した形状が出力 されている場合がある。
  • ファセットを構成するエッジを元にメッシュ作成すると、メッシュ数が膨大になる。

ANSYS Extended MeshingのSTLジオメトリ修正機能を利用すれば、このような問題の あるSTLデータから解析可能なメッシュデータを構築することができます。 図3をご覧ください。図3-1では、一部ファセットが抜け落ちている箇所もあり、 段差部分の形状も正しく表現できていません。そこで、平面上にあるファセット 群を抽出し、1つのサーフェスとし、その周りにカーブで円を作成します。サー フェスの輪郭エッジをカーブまで拡張することで、簡単に形状修正が可能です。

図3.ファセットデータの取り扱い
図3.ファセットデータの取り扱い
図4.シュリンクラップ機能による大腿骨の形状簡略化
図4.シュリンクラップ機能による大腿骨の形状簡略化
図5.頭蓋骨のメッシュコースニング
図5.頭蓋骨のメッシュコースニング

図4-1は大腿骨モデルです。スライスデータから抽出したSTLデータは元に なる断面が縞模様として現れています。また、大腿骨表面から内部に繋がる 穴が存在します。もし、この穴がCT値の取り方によって誤って生じてしまっ た穴、もしくは実際に存在するものでも解析には不要な穴だった場合でも ANSYS Extended Meshingのシュリンクラップ機能を用いることで小さな穴を簡単に 閉じることができます。シュリンクラップは形状を囲い込む領域に四辺形 シェル要素を作成し、そのシェル要素を形状にプロジェクトすることでラッ ピングしたメッシュを作成することができます。この時のセルサイズひとつで、 閉じられる穴の大きさが決まります。このシェル要素をファセットへ変換し た例が図4-3というわけです。ボクセル形状の縞模様も、穴も消えていること を確認できます。このモデルのシュリンクラップ実行時間は十数秒、メッシュ からファセット変換は瞬時に実行可能です。

STLデータを形状として取り込んだ場合、ANSYS Extended Meshingでは特徴を表す 構成エッジのみカーブとして認識し、メッシュ作成することができます。です ので、ファセットより大きなサイズでのメッシュを作成することができます。 形状修正・メッシュ作成機能については簡単に紹介しました。ANSYS Extended Meshingはメッシュを修正する機能も兼ね備えています。 もちろん、メッシュ品質に応 じた自動スムージング機能・マニュアル操作による節点移動、メッシュの細 分化機能などもありますが、膨大なメッシュ数となったモデルをコースニン グすることも可能です。図5がそれに当たります。頭蓋骨モデルのファセット データからそのままメッシュ作成すると、約800万要素となります。これを約 80万要素にまでメッシュ規模を縮小することができます。

最後に

一般的にこのような寸法データのない解析対象物を取り扱う例というのは極 稀で、基本的には設計者より提示されたCADデータ・設計図などを利用して 解析されることでしょう。ANSYS Extended Meshingは不完全なCADデータからメッシュ を作成することも得意としています。ご興味を持っていただければ幸いです。

(CAEのあるものづくり2007年6号掲載)

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