解析講座はじめてみよう!流体解析(実践編)
〜誤差との上手なつき合い方(4)モデル化による誤差について〜

目次

D:境界条件による誤差

解析を行う場合には、実空間すべてを再現することはできませんので、解析空間として有限の領域を設定し、解析空間とその外の空間を区切る面に境界条件を与える必要があります。
使用する流体解析ソフトによっても分類が変わりますが、代表的な境界条件としては、以下の5つがあります。

  • 流入条件:解析空間への流体の流入を許可する
  • 流出条件:解析空間への流体の流出を許可する
  • 開放条件:解析空間への流体の流入/流出ともに許可する
  • 壁面条件:解析空間への流体の流入/流出ともに許可しない
  • 対称条件:対称モデルの対称面として設定する

境界条件を設定する際には設定する場所と条件の両方に注意する必要があります。境界条件を設定する場所は解析領域のサイズによって変化しますが、第2回のモデル形状による誤差_B:解析領域サイズによる誤差でもご紹介したように、【必要十分な解析空間の確保】が重要です。図2のように、流れが均一でない場所に境界条件を設定すると全体の流れ場が変わってしまう可能性があります。このような場合には、ある程度流れが安定した場所に境界条件が来るように解析領域を拡大します。また逆流が発生すると予想される場所に境界条件を設定する場合には、流出条件ではなく開放条件を設定することが必要です。



図2 境界条件の設定場所で流れが安定していない場合

境界条件の設定は再現したい現象にあわせる必要がありますが、その組合せによっては収束性が悪くなることもあり、注意が必要です。
例えば流入条件と流出条件に同一の物理量を指定してしまうと、保存則を満たせなくなるため計算の収束性が悪くなり、最終的に計算が発散する場合もあります。
また図3のように、流入条件と流出条件を質量流量で指定した場合、実際の解析では必ず計算誤差が発生してしまうので、流入質量と流出質量が一致しなくなり、収束性が悪化する可能性が考えられます。このような場合にはどちらか一方の条件を圧力指定にするなど、流入・流出の条件を別の物理量で指定すると収束性の改善が見込めます。



図3 流入・流出を同一物理量に設定した場合

このように境界条件を設定する際には【設定する場所と条件】に注意して設定を行うことが重要です。

E:初期条件による誤差

解析を行う際に初期条件を設定する場合があります。
特に非定常解析では初期条件の設定が必須となりますが、設定した初期条件によって解析結果が変化するため、どのような初期条件を設定するかが重要となります。
たとえば物理量の変化がまったくない状態(流れが発生していない状態)を初期状態として計算を開始すると、解析開始直後に物理量の変化が大きくなって計算が発散する場合もあります。そのような場合は解析初期の刻み時間を小さくすることや、事前に定常解析を行って初期状態を作成しておくことなどが必要となってきます。

定常解析では初期条件の設定は必須ではありませんが、適切な初期値を設定することで解析の安定性向上や、解析時間の短縮が見込める可能性があります。たとえば定常状態(最終的な状態)に近い状態を初期条件にすると、解析時間を短縮できる場合があります。定常解析では解が収束してしまえば初期条件の影響はありませんが、収束判定値が比較的緩やかな場合は初期条件の影響を受けて結果が変わってしまう可能性がありますので注意して下さい。

>>次ページ:[ケーススタディ]乱流モデルの違いによる誤差

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