解析講座はじめてみよう!流体解析(実践編)
〜誤差との上手なつき合い方(3)メッシュによる誤差について〜

目次

[ケーススタディ]レイヤーメッシュの有無による誤差と解析の有効活用

ここからはメッシュによる誤差のうちD:レイヤーメッシュの有無による誤差について具体例を見ていきたいと思います。

●目的
今回はレイヤーメッシュの有無による流れ場の違いを確認することを目的とし、メッシュを変更した場合の流れ場への影響や計算時間を確認します。

●モデル
使用モデルを図5に示します。管は直径15[mm]、長さ約150[mm](入り口側直線部約50[mm]、出口側直線部約100[mm])の90°曲がり管です。


図5 解析モデル:90°曲がり管

●メッシュ
図6、図7は各モデルのメッシュを示します。
どちらのモデルも四面体メッシュを作成し、レイヤーメッシュありモデルでは5層のレイヤーメッシュを作成しています。レイヤーメッシュの壁近傍第一層目の厚さは約0.00015[m]です。


図6 メッシュ:レイヤーメッシュありとレイヤーメッシュなし(全体図)

図7 メッシュ:レイヤーメッシュありとレイヤーメッシュなし(断面図および拡大図)

表1は各メッシュのメッシュ数およびメッシュ品質を示します。メッシュ数は、レイヤーメッシュありがレイヤーメッシュなしの2倍程度となっています。アスペクト比は、レイヤーメッシュありの方が大きくなっています。

表1 メッシュ数とメッシュ品質

●解析条件
図8は解析条件を表します。レイヤーメッシュあり、レイヤーメッシュなしともに同一の条件で、管入口には十分に発達した流れの流速分布を適用しています。管出口は大気開放(圧力1atmを想定)、管壁は滑りなし壁と設定しています。


図8 解析条件(レイヤーメッシュありモデル、レイヤーメッシュなしモデルともに同一)

●解析結果
図9は各管の流れを表す動画です。レイヤーメッシュあり、レイヤーメッシュなしともに管の曲部で管内側の流速が外側に比べて速くなり、流れに乱れが発生していることが確認できます。

図9 解析結果:各管の流れ(動画)

図10はzx平面の流速分布を表します。レイヤーメッシュありとレイヤーメッシュなしともに曲部の管内側で速度が最大になり、曲部出口付近で速度の遅い領域が存在するなど共通点も見られます。
しかし、管壁に近い場所では流速分布に大きな違いが見られます。レイヤーメッシュありのモデルでは管壁から管中央部にかけて連続的な速度変化になっていますが、レイヤーメッシュなしのモデルでは管壁近傍の速度変化を捉え切れていないことがわかります。


図10 解析結果:流速分布(全体図および拡大図)

図11はzx平面の流速ベクトルを表します。レイヤーメッシュあり、レイヤーメッシュなしともに剥離(流れが管表面から剥がれ、多数の渦が発生する領域ができる状態)が発生していることが確認できますが、剥離位置(黒矢印)はレイヤーメッシュありでは曲部出口直後であるのに対して、レイヤーメッシュなしでは曲部出口から少し離れた場所となっています。また拡大図より剥離後の様子についても、レイヤーメッシュありでは逆流が生じているのが確認できますが、レイヤーメッシュなしでは逆流は確認できません。


図11 解析結果:流速ベクトル(拡大図)

図12はzx平面の圧力分布を表します。レイヤーメッシュあり、レイヤーメッシュなしともに曲部の管内側で圧力の低下が発生し、曲部出口付近での剥離につながっています。最大圧力はレイヤーメッシュありで552.7[Pa]、レイヤーメッシュなしで467.3[Pa]、最小圧力はレイヤーメッシュありで-762.9[Pa]、レイヤーメッシュなしで-912.3[Pa]となりました。


図12 解析結果:圧力分布

表2に各モデルの管入口、出口の全圧とそこから求められる圧力損失、収束までの繰り返し計算回数および計算時間を示します。圧力損失はレイヤーメッシュありで249.8[Pa]、レイヤーメッシュなしで172.3[Pa]と違いがみられました。
 計算時間はレイヤーメッシュありとレイヤーメッシュなしでほとんど違いはみられませんでした。これは収束までの繰り返し計算回数がレイヤーメッシュなしはレイヤーメッシュありと比較して約1.6倍となっていることが原因です。

表2 圧力損失と計算時間

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