解析講座はじめてみよう!流体解析(実践編)
〜誤差との上手なつき合い方(2)モデル形状による誤差について〜

目次

[事例] 形状簡略化による誤差

次に形状簡略化を行った際の誤差について具体例を見ていきたいと思います。ここでは継手管および単管モデルを用います。

●目的
今回は全体の流れを素早く知ることを目的とし、形状簡略化を行った場合の解析コストと影響を確認します。

●モデル
使用モデルを図7に示します。左側が継手管、右側が継手管の継手部段差を削除した単管です。管は直径50[mm]、長さ200[mm]、継手部の段差は高さ0.5[mm]です。


図7 解析モデル:継手管と単管

●メッシュ
図8、図9は各モデルのメッシュを示します。継手管のメッシュは、形状が単純ではないため四面体メッシュ(テトラメッシュ)で作成しています。継手部分は解像度を上げるためにメッシュを細かくする必要があり、メッシュ品質を保持するため、継手部周囲のメッシュも細かくする必要が出てきます。単管のメッシュも四面体メッシュで作成しています。こちらは六面体メッシュ(ヘキサメッシュ)で作成することも可能ですが、継手段差部の影響を比較するため、今回は継手管と同じ条件でメッシュを作成しました。


図8 メッシュ:継手管と単管(全体図)

図9 メッシュ:継手管と単管(断面図および拡大図)

どちらのモデルでも壁近傍の物理量変化を精度良く捉えるため、レイヤーメッシュを作成しています。物理量変化の小さい管中央部のメッシュは壁近傍より大きくすることが可能です。
表1は各メッシュのメッシュ数およびメッシュ品質を示します。継手管は継手部周辺のメッシュが細かくなっている影響で、メッシュ数は単管の約3倍となっています。また隣り合うメッシュのサイズ比も大きくなっています。

表1 メッシュ数とメッシュ品質

●解析条件
図10は解析条件を表します。継手管、単管ともに同一で、管入口には十分に発達した流れの流速分布を適用しています。管出口は大気開放(圧力1atmを想定)、管壁は滑りなし壁と設定しています。


図10 解析条件(継手管と単管ともに同一)
●解析結果

図11は各管の流れを表す動画です。継手管、単管ともに渦などは発生しておらず、粘性の影響で管中央に比べて壁近傍の流れが遅いことが確認できます。

図11 解析結果:各管の流れ(動画)

図12はyz平面の流速分布を表します。継手管と単管では分布に大きな違いは見られません。また最大速度も継手管が2.341[m/s]、単管が2.346[m/s]と違いはほとんどありません。


図12 解析結果:流速分布

図13はyz平面の圧力分布を表します。継手管、単管ともに管入口から出口に向かって圧力が低くなる傾向が見られます。継手管は下流側の継手段差部で局所的に圧力が高くなっています。最大圧力は継手管が0.621[kPa]、単管が0.195[kPa]となりました。


図13 解析結果:圧力分布

表2に各モデルの管入口、出口の全圧とそこから求められる圧力損失、および計算時間を示します。圧力損失は継手管が0.157[kPa]、単管が0.149[kPa]となりました。
単管の計算時間は継手管の半分以下になりました。

表2 圧力損失と計算時間

●まとめ 今回は全体の流れを素早く知ることを目的として形状簡略化を行いました。その結果、以下のことが確認できました。

  1. 微小形状を簡略化すると、形状の再現およびそれに伴うメッシュ品質の確保を行わなくて良いため、メッシュ数を大幅に削減することができる。
  2. 微小形状の違いは流れに大きな影響を与えていない。
  3. 速度分布、圧力分布など全体の傾向には大きな違いは見られなかったが、継手部分で圧力が高くなるなど微小形状の影響による差異は見られた。
  4. メッシュ数の違いから、微小形状を簡略化した場合には計算時間を大幅に短縮することができる。

>>次ページ:形状簡略化によるメリットとデメリット

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