[オムロン株式会社、オムロンスイッチアンドデバイス株式会社]目指すのは開発のフロントローディング化。CAEはそのための有効なツールの1つにすぎません 〜現場主義のCAE推進活動に、ANSYS Workbenchが貢献〜

目次

CAEは開発プロセス全体の中に位置づけられるもので、切り取っては考えられない。CAE単独の効果を議論するより、CAEを含めた新しい開発プロセスが、どれだけビジネスに貢献できたかを考えるほうが適切。

今後取り組まれたい課題は?

福万 オムロンスイッチアンドデバイスの事例をモデルケースの1つとして、他の事業部でもCAE推進活動を進めていくことです。当社には数十の開発部門がありますが、それぞれ現場に合った形で、CAEを設計に役立てていけるような体制を作り上げなくてはなりません。
そのために、当社には2つの戦略があります。1つは我々GMIのような本社機能が、個々の設計現場に深く張り込み、課題抽出から問題解決までを一緒に行うというもの。もう1つは各部門に1名ずつ、CAE業務を取りまとめ、部門のCAE推進を担うことができる専門家を育成することです。
繰り返しになりますが、CAE推進には現場を知ることが重要です。表面で出ている問題も、掘り下げると全く別の問題であったというケースもあります。CAEの事を理解している人が現場のスポークスマンになったほうが、本社の我々がゼロからヒアリングをするよりも効率よく、適切な情報が得られると思います。
設計部門では、全員が解析のプロフェッショナルになる必要はありません。しかし部内に専門家が1名居ることは重要で、質問すればすぐ答えが返ってくるような状態が望ましいと思います。
岡田 これを当社では「事業密着CAE人財」と呼んでいます。GMIのCAE人財だけで、全社の推進活動をするのは限界がありますから、GMIに各事業部からローテーションで人を派遣していただき、2〜3年でCAEの推進活動ができるまでのスキルを身につけ、現場に戻っていただくのです。このローテーションを次々に展開してきながら、2020年までにはオムロンの全ての事業部でCAEの推進体制を確立しようと計画しています(図4)。

図4 CAE人財育成、および現場技術者の教育
福万 難しいのは、事業部によって温度差が大きいところです。オムロンスイッチアンドデバイスのように、CAEが認知されている部門ばかりではありません。設計者が自ら解析をする意識がない部署で、どうやってCAEの有用性を理解してもらい、積極的に取り組んでもらえるようにするかが悩みどころです。

CAEの効果測定などを求められることはありますか?

池田

池田 正哲 様
CAEは開発プロセス改善の1つでしかありません。
様々な取り組みが総合されて、タクトタイムの削減や品質向上が実現しているので、CAEだけを切り出して効果を定量的に測定するのは難しいです。
そこで検討しているのは、アンケートやヒアリングによる定性的な調査です。CAE推進をはじめとした活動の1つ1つが開発プロセス全体の成果導出にどれだけ貢献したかを振り返り、その結果を活動指標として落とせないかと考えています。
岡田 ただ、そもそもCAEがいくらの効果があるか?という問題の立て方には疑問を感じます。シミュレーションは、先人が作り出した工学知識を、有限要素法という手法に置き換えているにすぎません。シミュレーションの利点として、ものの大小に関わらず、試作せずに性能評価ができたり、物体内部の見えない部分まで可視化できる点が挙げられますが、これらは工学の論理を適用できる範疇にあるので効果的なのです。一方、材料系の劣化といった工学的な理論を適用できない範疇においては、CAEより実験を使ったほうが効果的です。

CAEはアプローチ方法の1つに過ぎません。開発プロセス全体を改善するには、課題に応じて、いかに柔軟にアプローチ方法を使い分けていくかが重要です。そのため、CAEだけを切り取って効果を議論するのはあまり意味はなく、CAEを含めた新しい開発プロセスが、どれだけビジネスに貢献できたかを考えるほうが適切だと思います。

今日は貴重なお話をありがとうございました。では、御社のCAE推進活動において、ANSYSやサイバネットはどのようにお役に立てているでしょうか?また、今後期待することをお聞かせください。

福万 オムロンスイッチアンドデバイスでは、ANSYSのみ利用しています。最近のANSYS Workbenchは、操作性はCAD付属のツールと変わらないのに非線形解析の機能も充実していますね。現在ではほぼ全ての解析業務をANSYS Workbenchで行っています。
また先述のワークショップは、サイバネットのCAEユニバーシティの手法を参考に仕組みを考えました。その他、3回ほど岡山でオンサイトセミナーを開催してもらいましたが、遠田先生の「構造CAEの設計応用講座」では、設計者目線でCAEの活用方法を紹介していただき、とても参考になりました。当時の資料はいまでも活用しています。
要望については、CAEベンダーであっても、設計に対する理解を深めていただけるとベターですね。我々はCAEは設計ツールの一環として利用していますので、そうした視点を共有してもらえると良いと思います。

ありがとうございます。オムロン様でのCAE推進のために、当社もできる限りのご支援ができればと思います。何かございましたらお気軽にご相談ください。では最後に、現場の解析技術者の方へアドバイスをお願いします。CAEの技術を向上させるために、必要なことは何だと思われますか?

福万 疑うことだと思います。結果を疑う。境界条件を疑う。CAEは簡単に答えが出てしまいますので、回答をうのみにしないことが重要だと思います。
岡田 CAEは万能ではないので、今取り組もうとしている課題に対して、CAEを使うのが良いのか、それとも実験や他の方法を使うのが良いのか、切り分けるセンスを身に着けることだと思います。

岡田様、福万様、池田様、岸様には、お忙しいところ取材にご協力いただき、誠にありがとうございました。この場をお借りして御礼申し上げます。
【メカニカルCAE事業部 マーケティング部】

「CAEのあるものづくりVol.20 2014」に掲載

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