CAE入門講座とシステムの操作教育をeラーニング化
〜eラーニングによるANSYSトレーニング〜

「CAE入門やアプリケーションの基本操作を学ぶ「初級講座」をeラーニング化 したことで、今まで初級講座に割いていた講師の時間を中上級講座や事業部の OJT体制への参画に割り振ることができました。」

KYB株式会社

自動車用ショックアブソーバなど油圧機器の国内大手メーカーであるKYB株式会社では、CAEの学習教材にepiplex500を活用しています。同社 CAE推進部 岐阜分室の室長 満嶋様、専任課長 長瀬様、木谷様にお話をお伺いしました。(写真左から長瀬氏、満嶋氏、木谷氏)

目次

KYBについて

― KYBについて教えてください。

1935年に創立したKYBは、油圧機器の専門メーカーです。主に「自動車の油圧機器」「一般の油圧機器」「その他製品」の3つで事業展開しています。国内は東京本社のほかに、相模原、熊谷、岐阜に工場があり、海外はヨーロッパ、アメリカ、タイ、中国などに拠点があります。従業員数は10,977名です。(2010年3月末現在・連結)

我々が所属しているCAE推進部は、全社のCAEを統轄している部門になります。部員は現在16名で、相模原、岐阜の各工場に拠点があります。拠点間は綿密なコミュニケーションをとっています。主な業務はCAE活用による事業部門の課題解決とCAE活用技術者の育成です。実は2002年以降は事業部ごとに分かれていたのですが、2008年に全社横断組織として再結成されました。

技術伝承のために、CAE技術者の再教育を図る

―  2008年に再結成された背景をお聞かせください。

2007年頃、日本の他の企業と同じで当社でも団塊世代の退職にともなう「技術伝承」が課題となっていました。技術の原点に立ち返り、従来行われていた「再発防止」を目的とした予測技術の標準化から、先進モノづくり企業で展開されている「未然防止型」のCAE活用へと変革するために、CAE推進部は再結成されました。

―  CAE推進部で最初に取り組んだことを教えてください。

中長期計画を策定するにあたり、2つの重要な要素を盛り込みました。1つは指導できる先生を育てる環境作りとして社内CAE関連講座の階層化を進めること、もう1つは事業部に入り込んで、CAEの課題整理から問題解決の方策まで指導範囲を広げるOJT体制の構築です。(図1)


解析主導型設計のCAE推進体制

というのも、2008年以前は社内のCAE関連講座が横並びにあり、階層化されていませんでした。それでは、CAEの技術者にとっても「指導できる先生」になるまでのキャリアビジョンが見えづらい状況です。そこで、「ある過程が終了したら、次の過程に進める」といった大学や大学院などをイメージとした階層化の環境作りが必要でした。


「中長期計画では、CAE技術者教育が
重点課題でした」と満嶋氏

階層化にあたり、まずは社内CAE関連講座をCAE入門やアプリケーションの基本操作を学ぶ「初級講座」と、指導できる先生を育てる「中上級講座」に分類しました。とはいえ、潤沢とはいえないCAE推進部の人材ですべてを集合教育で実施するのは難しい。しかし、初級講座を失くすことはできません。また一方で、ユーザーからはCAEが使えないと仕事にならないのに、年1回のCAE入門講座まで待てないといった声もありました。

これらの問題を解決するために、中上級講座や事業部のOJT体制への参画にCAE推進部の業務を集中させて教育精度を高め、初級講座は人材を投入せずに自動化したいと考えるようになりました。こうした背景によりCAE推進部でのeラーニングの導入を検討し始めました。

―  なぜ社内でeラーニング教材を作成しようと考えたのですか。

他部門では既にネットワークセキュリティなど一般教育をeラーニングで展開していましたが、我々のCAEの技術者教育の教材となると、次の問題から、すべて外注するとなると費用的に問題がありました。

  1. 外注先にも同じPCスペックや環境を用意してもらう必要がある
  2. 今後も定期的にCAEツールなどの基本操作のeラーニング教材を作成する予定がある

自分たちでeラーニング教材が作成できるツールがないかと考えていたところ、サイバネットシステムが取り扱っているANSYS(有限要素解析ソフトウェア)の担当営業の方からepiplex500を紹介してもらいました。epiplex500は社内でeラーニング教材が作成でき、また早ければ1つの教材を約10分で作成できることからも2008年9月の導入に至りました。

CAE入門講座とアプリケーションの基本操作をepiplex500でeラーニング化

― epiplex500は現在どのように利用されているのですか。

先ほどお話したとおり、「CAE入門講座やアプリケーションの基本操作を学ぶ初級講座」のeラーニング教材をepiplex500で作成しています。

  1. CAE入門講座のeラーニング教材

    1985年頃から当社ではCAEの専門家により開発されたプログラムを「利用者が簡単にパラメータを変更し、計算を実施できる仕組み」が構築されています。この仕組みをCAE標準実行システムといいます。過去20〜30年分のプログラムが登録され、利用者は目的にあったプログラムをキーワードで探し出し、例題としてのeラーニング教材を見て触ってもらえれば、CAEツールの操作を知らないユーザーでも簡単に解析できる仕組みとなっています。

    年1回のCAE入門講座では2日間にわたって、CAE標準実行システムの操作方法を中心に集合教育を行っています。この講座をeラーニングで展開するにあたり、epiplex500では「プログラムの実行方法」「計算結果の表示」「出力」の操作方法のepiLearn(動くマニュアル)を作成しました。2010年8月時点で、epiplex500で作成したCAE入門講座のepiLearnは12個あります。これらを専門用語などの説明をしているパワーポイント資料に埋め込んでユーザーに公開しています。

  2. CAEアプリケーションの基本操作 学習教材

    ANSYS Workbenchにおける熱流体解析ソフトウェアANSYS CFXの基本操作の学習教材をepiplex500で作成しました。epiplex500を導入してすぐに作成したので、2008年冬には公開しましたね。

    epiplex500で作成したCAE入門講座や基本操作のeラーニング教材は出力時のテンプレートをカスタマイズできたので、当社の会社ロゴを挿入しています。また、epiLearnのモードは表示とガイドの2つを用意しています。ユーザーの混乱を招く恐れがあったので、「ガイド」「表示」のボタンは「手動」「自動」に変更しています。(図2、図3)


    (図2) ANSYS CFX-Meshの作成画面
    クリックすると拡大図が表示されます。

    (図3) ANSYS CFX Postの設定画面
    クリックすると拡大図が表示されます。

―  eラーニングで展開したときのユーザーの反応はいかがでしたか。


「eラーニングを事前に受講しないと
集合教育についていくのは
難しいようにしています」と長瀬氏

2009年にCAE入門講座の一部をeラーニングで展開したのですが、驚くほど抵抗はありませんでしたね。我々が催促しなくても、公開翌週にはユーザーが利用していたので、学習意欲の高さに感心しました。最近の若い人はeラーニングでの教育に抵抗がないのでしょうね。逆に自己学習のほうが合っているのかもしれません。

2010年はCAE入門講座の全てをeラーニングで展開するほか、集合教育も実施する予定です。集合教育とeラーニングを組み合わせた講座になります。ただし、事前にeラーニングを受講しないと授業についていけない内容にしています。受講してこないユーザーもいるかと思いますので、今から電子メールで「eラーニングを受講しないと、授業についていけません」という連絡をしています。2011年はCAE入門における集合教育を廃止して、eラーニングだけにできればと目論んでいます。

epiplex500を利用したeラーニングの導入効果について

―  epiplex500を利用したeラーニングの導入効果をお聞かせください。

導入効果は大きく3つあります。

  1. いつでも受講できる
    年1回のCAE入門講座を待たずとも、いつでも受講できるeラーニングを導入したことは、CAEツールを使えないと仕事にならないユーザー、特に新人にとっては大きなメリットだと思います。実際にサポートの問い合わせ件数も減少しました。
  2. わからないところを重点的に学べる
    集合教育では個人的に質問できない人もいますが、eラーニングはわからないところを重点的に繰り返し学習できる点がいいですよね。そういった意味で、学習効果が高まったと思います。
  3. 人材の最適化
    CAE入門やアプリケーションの基本操作を学ぶ「初級講座」をeラーニングで自動化したことで、今まで初級講座に割いていた講師の時間を中上級講座や事業部のOJT体制への参画に割り振ることができました。結果として、人材の最適化が図れ、CAE技術伝承への環境作りが進んだと思います。

今後の展開について

― 今後の展開をお聞かせください。


「他のアプリケーションの基本操作も
epiplex500で作成する予定です」と木谷氏

当社で導入しているCAE関連のアプリケーションは年々増えています。それらの基本操作の教育はできる限りすべてeラーニング化し、より階層化を進めたいですね。また、現在もeラーニングの簡単な受講履歴を取っていますが、有効活用はしていないので、今後は理解度の確認も含めて活用していきたいと思っています。

epiplex500の基本から応用操作を社内で共有する仕組み、例えばWebセミナーなどをサイバネットシステムから提供してもらえると助かります。最後にepiplex500の機能要望にもなりますが、カスタマイズできる範囲を広げるなど、より自由度を高めて欲しいですね。

 

お忙しい中、インタビューにご協力いただきまして、誠にありがとうございました。

 

取材日時:2010年8月
KYB株式会社のホームページ :http://www.kyb.co.jp/

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