[日置電気株式会社]生産設備でのSpaceClaimとANSYSとの連携解析例

電気計測器開発フローの効率化に成功

日置電機株式会社は研究開発向け、生産ライン向け、およびフィールドメンテナンス向けの電気計測器メーカとして長い歴史を持っている。かつ、様々な世界初製品(金属非接触式電圧計など)の開発、グッドデザイン賞毎年受賞、著名なビジネス雑誌のイノベーティブ企業ランキングで4000社中15位(2009年)、という具合に革新的な製品を開発し続けている。これらの製品は地球環境保護に役立つ太陽光発電、燃料電池、電気自動車開発などにも活用されている。

新製品は研究開発部門の基礎研究をベースに開発される。開発を効率的にするために、ソフトウェア・機構の設計部門が横断的にそれを支えている。開発初期段階から品質や環境・安全に対するアセスメントを実施、市場との対話を進めながら新製品が世に送り出されている。

そのプロセスにおけるツールのひとつとしてSpaceClaimを活用している。

開発にあたっての課題

開発環境としてはSolidWorksを基幹CADとし、その他ProEなどの各種CADシステム、ANSYSなどの各種CAE システムから成るマルチCADかつマルチCAE環境としている。また、意匠デザインにはモデリング・レンダリング専用ツールを使用している。各プロセスに合った ツールを使いこなすことが最良であり、シミュレーションドリブン開発においてはこの使いこなす能力が会社としてのアドバンテージを左右するという考え方である。

また、デザイン、設計、解析のデータはそれぞれ別に管理運用することで、各領域での専門性、効率、品質を高めていくことができ、革新的企業としての競争力を維持できると考えている。これによってニーズに合った製品を世の中に迅速に出すという目的が達成できる。一方、基幹CADモデルを各プロセスに活用するためには、上記マルチCAD・CAE環境の中でデータをいかに受け渡しながら、デザイナーや専門エンジニアが本来の仕事に集中できるようにするかがテーマであった。

また、流体−機構連成解析や、バーチャルメカによるソフトウェアも組み合わせたシミュレーションのためには、ツール間のスムーズな連携だけではなく、各プロセスに最適化したモデルの使用が従来にも増してますます重要になると考えていた。つまり、各プロセスの専門エンジニア自身が目的に適った変更をモデルに加えるというニーズが潜在していた。

SpaceClaimを導入

技術本部開発部開発推進課係長水出博司氏は、従来から開発ツールの進展には常に注意を払っていた。展示会でSpaceClaimに出会った時から、そのGUIの秀逸さに魅力を感じていた。また、基幹CADでのフィ−チャーは、設計以外の上流、デザイン、解析、および生産技術領域では不要であると考えていたことから、SpaceClaimダイレクトモデリングのパワフルさを注視してきた。数ヶ月の評価後、SpaceClaimの導入を決めた。

SpaceClaimの運用と効果

  1. SolidWorksで設計されたモデルをデザイナーがデザインツールにインポートしてレンダリングしていたが、変換エラーや小変更対応に工数を要していた。現在はデザイナーがSpaceClaimに読み込み必要な変更を加えてからツールに渡すことで、設計者に助けを求めることなく、デザイナー本来の意匠デザインの決定業務に集中できるようになった。
  2. SolidWorksやProEで設計されたモデルを解析チームが受け取り、CAEツールで解析している。従来は解析エンジニアがこれらのCADを使って形状簡易化してからメッシュ切りしていた。CADのベテランではないこともあり、小さな変更作業に数時間費やすことも日常的であった。SpaceClaimを解析チームで使うようになり、短時間で変更作業できるようになり、大幅な効率アップとなった。SpaceClaimは短いトレーニング時間で直感的に使うことができている。
  3. SpaceClaimはANSYSとの双方向連携をサポートしており、有効活用を始めた。設計からSolidWorksやProEのモデルを解析チームで受け取った以降は、それらのCADバージョンに関係なくSpaceClaimのダイレクトモデリング機能とその秀逸なGUIにより、解析者自身がモデル簡易化や変更を行っている。ダイレクトモデリング機能に加えて、“プリペア”機能によるフィレット削除、微小面削除等のメッシュ切り前の使い易い専用コマンド群は、非常に有効である。モデル規模が大きくなるほど、工数低減効果が大きくなる。また、エレメカ連携解析においては、電気系エンジニアがモデルを変更できる効果も大きい。
  4. 設計データとは別に、解析は解析のデータ、デザインはデザインのデータで管理しているが、この運用の中でSpaceClaimのニュートラル性を活用しながら強力なモデラーとして位置づけることで、工数減と品質向上を達成している。

水出氏は“各ツール間のデータ交換は発生するが、その局所的な手間よりも、モデル変更作業がSpaceClaimにより大幅に効率化され、結果的に全体効率が向上するメリットのほうが明確に高い。従来は何時間もかかった変更が30分でできる。さらに、ツールは目的に応じた最適のものを選択しつつ、データ資産を維持することができる。CADモデルを直接変更しての解析は、設計データを誤って変更してしまうというリスクがある。SpaceClaimの導入によってこのリスクを低減するという予想外の効果もあった。いずれにしても、全体フローは変えずにSpaceClaimを全てのエンジニアが利用できる。” と語っている。

今後の展開

ラピドプロトタイプへはすぐに効果を発揮すると考えている。CADモデルをSpaceClaimにインポート、またはSpaceClaimで新規モデリングし、3DプリンターでRP製作することで、早期デザイン検証に効果がある。また板金モデリング機能は強力であり、筐体モデリングに使用予定。シミュレーションドリブン開発の強化としては、熱流体解析、機構系も含めた連成シミュレーション時のニュートラルモデラーとしてSpaceClaimを適用予定。中期的には、開発早期段階でのバーチャルメカによる制御系との連携シミュレーションを目指しているが、SpaceClaimなしでは実現できないと考えている。


パワーアナライザのSpaceClaimモデル。
太陽光発電システムの測定・評価
にも効果的な製品

水出氏は“開発ツールの種類を絞ることによって効率化するという議論は過去のもの。必要な各種ツールを導入しつつワークフロー効率化を目指すべきである。ツール導入コストよりも、工数低減や早期市場投入による競争力強化が達成できるというメリットが重要。SpaceClaimによって、これが実現できた。” と語っている。

“全体プロセスでのSpaceClaim適用領域を拡張していく。基幹CAD による詳細設計以外のプロセスでは、SpaceClaimを共通モデラーとして使用できると考えている。”

水出氏

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