[株式会社ホンダロック]他社が真似できない技術力・ノウハウを蓄積する。
SpaceClaimでCAEを効率的に活用


左から川上様、多田様

本インタビューでは、株式会社ホンダロック様にご協力いただきました。
同社は1962年(昭和37年)に2輪用スイッチロックメーカーとして創業し、現在は主力の2輪・4輪キーセットだけでなく、4輪用ドアラッチ・アウトサイドハンドルなどのセキュリティーエントリー部品や、ドアミラーなどの視界系部品、およびセンサー部品など広く事業を拡大しています。また、近年は企業活動のグローバル化も進めており、国内6拠点・海外6ヶ国10拠点で開発から生産・販売までを機能的に結び付けています。

インタビューをお受けいただいた多田様には、2011年10月28日に開催されたSpaceClaim特別セミナーにて事例発表にもご協力いただきました。今回は同社の設計プロセスにおいてSpaceClaimがどのように活用されているのか、お話を伺いました。

今回お話いただいた方々
R&Dセンター 開発本部
製品開発部 設計ブロック
川上 和久 様
多田 真和 様

(以下、お客様の名前の敬称は省略させていただきます。)

目次

ものづくりの中で重要になりつつあるCAEを社内でリード

− ではまず、お二人の担当業務についてお聞かせください

川上

川上 和久 様
私のグループは設計の製品担当で、キーセットにまつわるキーやドアシリンダー・ステアリングロックといった製品の設計業務を行っています。
その中で、私は主にメカ的な設計分野を担当しています。担当製品の非線形を含む構造解析を実施することが多くなってきています。また、難易度の高い非線形問題については、他のグループから解析を依頼されることもあります。
多田 私は当初、設計担当が作成した図面を基に製作した試作品をテストして、その良し悪しを判断する研究ブロックという部署におりましたが、前職でCAEに携わっていたこともあり、川上の業務のバックアップや社内のシミュレーション技術の向上に注力すべく、現在の設計ブロックに移りました。最近は主に企画段階での解析をしつつ、図面の作成やCADモデリングも行っています。

開発初期に問題点を顕在化できるCAEの効果

− 解析は設計プロセスのどのタイミングで実施されていますか?

川上 以前は詳細設計で作成したCADデータを、CADに付属する解析ツールで解析していました。しかし線形材料しか取り扱えないため、応力値が合わない・アセンブリモデルの解析ができないなどのケースがあり、ある程度の比較にしか使えませんでした。その後、ANSYSを用いてアセンブリモデルの非線形挙動を解析できるようになったことで、新たに解けるようになった事象が出てきたのです。

例えば、試作を行った際に、予測していなかった箇所で問題が発生するということもあったのですが、後々それを解析してみると、やはりその箇所に問題が発生するという結果が得られました。そういったことが解るようになったので、今はできるだけ設計初期に解析を実施して、早い段階で問題点を予測できるようにしています。

− 解析のフロントローディングが進んでいるということですね。それでは、解析の結果をどのように評価して設計に反映させているのでしょうか?

川上

多田 真和 様
量産品に関しては、製品を作り出すための要件値がこれまでの実験や解析の積み重ねから経験的に得られています。そこで、その製品の形状や材料で(解析した結果が)その要件を満たせるのかどうか、という評価の仕方をしています。
設計には評価結果や知見のみフィードバックすることもあれば、結果を元に形状を作り直すこともありますね。
多田 解析計算自体はオペレーションなので、ある意味誰にでもできますが、その前後の「実現象を解析モデルにどうやって落とし込むか」「出てきた結果をどう評価してどう結論付けるのか」を考えることが、技術者として一番難しいところです。
シミュレーションの確からしさは、実験を構築したり解析を繰り返したりすることで高めていく必要がありますね。

− CAEで得られる知見の有効性について、御社内ではどう捉えられていますか?

川上 CAEの導入当初は、私自身も解析のことが全然わからず、なかなか有効な結果を出すことができませんでした。しかし半年スパンの中でコツコツ経験を積むうちに、非常に重要な問題に対して有効な知見を導き出すことができました。それが評価されてからは、周囲にもある程度解析の重要性について理解してもらえるようになりましたね。
今では設計における解析・シミュレーションの重要性は全社的に認められています。
多田 解析の重要性についての理解は深まっていると思います。しかしまだ解析をしたことがない設計者も多いため、数十パーツのアセンブリモデルを渡されて「摩擦も含めて3日後までに結果が絶対欲しい」といった依頼をされることがあります。モデルさえあればすぐに解析が流れて結果が得られるものと、思われている部分もまだあるようです。
適切なタイミングで必要とする結果を得るためにも、社内の解析ユーザーを増やし、作業内容や難易度についての理解を高める必要性を感じています。
川上 これはグループ毎に状況が変わりますね。例えば私のグループだと、自分がずっと解析を担当してきたので、依頼する側も大体難易度が判っています。だから依頼の際に、どのくらいかかるのかを先に確認したうえで、日程を決めています。
しかし、解析技術者が各グループに均等に配置されているわけではないので、多田の言うような状態も起きてしまいます。

SpaceClaimでCAEの作業工数を削減

− SpaceClaimの導入前に問題になっていたことは何ですか?

川上 依頼されたモデルを解析する場合、どういった目的でその形状が作られているか(設計意図)がわからず、いちいち確認してCADでモデルを修正してもらうというやり取りが発生し、解析の準備だけでも莫大な工数になってしまうことがありました。
履歴を持つフィーチャーベースCADは、設計意図が伝わらないとモデル編集が大変でしたね。
解析準備の作業に時間をかけても良い設計はできません。何とかこの時間を削減して、本来の設計業務に工数を配分できないかと考えていました。
多田 解析のためのモデルは、解析規模の調整や解析精度を高めるためのメッシュ分割といった目的で、様々な修正が行われます。しかし、微小エリアの削除や境界条件定義のための面分割、簡略化のためのフィレット除去といった作業を、標準CADで行おうとすると、履歴が邪魔になって非常に時間がかかりました。

解析対象製品例

数時間かかったモデル準備作業が5〜6分で完了!
操作すればわかるSpaceClaimの機能と操作性

− 解析準備のために必要なモデル修正を、解析者自身が簡単な操作で短時間のうちに行えることが求められていたのですね。それでは、SpaceClaim導入の経緯についてお聞かせください

川上 ANSYS担当の営業の方から「こういうツールがあるよ」とSpaceClaimを紹介してもらったのがきっかけです。インターネットで調べてみると、いろいろな機能があり、特に形状の問題が発生しているポイントを探索して修正する機能に興味を持ちました。
そこで「SpaceClaim体験セミナー」に参加して実際に操作を体験してみると、「これがあったら解析準備が楽になるかもしれない」という感触が得られたので、30日の評価貸出を申し込みました。
評価した内容は、これまで標準CADで行っていた解析のためのモデル準備作業が、どの程度短縮できるかというものです。
結果は、これまで数時間かかっていた作業が5〜6分でできるケースもあり、非常に効果的なものになりました。

− 評価貸出の際の操作は問題ありませんでしたか?

川上 セミナーで少し操作は体験していたのと、モデル修正に限定した使い方だったので、特に問題はありませんでした。

− 全社で標準のCADがある状態で、新たなモデリングツールを導入されることについては抵抗ありませんでしたか?

川上 図面を描いたり対外的なやり取りの際には標準CADを使用し、SpaceClaimは解析準備用に用途を限定するという方針で進めました。
事前の評価で導入効果が高いことがわかっていたので、スムーズに導入できましたよ。

− 解析準備用の他にもご利用になる場面はありますか?

多田 メインの用途は解析準備用ですが、標準CADで作成したデータの修正だけでなく、一からモデルを作成する場合にも使うようになりました。
アセンブリモデルをパーツごとに作り分ける必要もありませんし、モデルの移動も楽です。
また、面を触って引っ張ってあげれば自由に伸び縮みしてくれるので、その点では標準CADで作るよりずっと早いなと思います。

− SpaceClaimの操作はどのように覚えられましたか?

多田 「使いながら覚える」という感じですね。操作が直観的なので、「たぶんこうかな?」と予想してやってみたら合っていることも多々あります。
使用目的が限られることもありますが、困ったときはオンラインヘルプを参照すれば、自己解決できる場合がほとんどです。
社内の標準CADをある程度使えるようになるまでに半年くらいかかったことを考えると、非常に簡単です。現状の実務レベルであれば、サポートやトレーニングを受けなくても何とかなりますね。

CAEユーザーを増やす活動の継続と、他社が真似できない技術力・ノウハウの蓄積を目指す

− 今後の業務に関する目標についてお聞かせください

川上 開発として「シミュレーション能力の向上」が不可欠であると言われるほど、解析は重視されるようになってきています。よって、そのための活動が中心になります。
多田 全社的な解析レベルの向上のためにも、解析経験のない設計者に使い方を覚えてもらいたいですね。また、周りの上司に信頼してもらうために、シミュレーションの確からしさを高めるためのノウハウの蓄積が必要だと考えています。あとは、材料データなどももう少し精査したいですね。
川上 設計者に使い方を覚えてもらうために、社内セミナーの企画・解析の社内サポートを行うことになるでしょう。
また、「導入したことによってどういう効果が得られるのか」と具体的に求められることがありますが、それについては、効果測定の方法を一緒に考えていくことになると思います。

− 御社におけるSpaceClaimの今後の活用についてお聞かせください

川上 解析モデルの準備ツールとしては、当社内での解析ユーザーの増加に伴い、SpaceClaimのニーズも増えると思います。
その他にも、光造形や製品の3次元測定で得られたSTLデータを修正して、設計側にフィードバックするツールとしての活用も出てくるでしょうね。

自習コンテンツの拡充に期待

− では最後に、製品や当社に対する要望をお聞かせください

多田 自己解決のための動画コンテンツを増やしてほしいですね。先日の特別セミナー(2011年10月28日開催)のデモを見た時に、「こんな動きもできるのか」と気づかされた点もありました。そういったものが簡単にアクセスできる動画としてあればいいですね。
川上 ANSYS Workbenchとの連携で、解析画面を起動した際に形状の読み込みのためにSpaceClaimを起動しますが、ライセンスが余っていないとそこでフリーズしてしまうことがあります。
SpaceClaimは起動したままにすることが多いソフトなので、一定時間触っていないと自動的に終了するような設定があればいいかもしれません。

動画やチュートリアルといった自習用コンテンツの増加とアクセス性の向上については、現在進行中ですのでご期待ください。
また、SpaceClaimの自動終了については、起動時にライセンスに空きがない場合はエラーを出力せずに待機するような設定と合わせてできるようになればいいのかもしれませんね。

株式会社ホンダロック 川上様、多田様には、お忙しいところ長時間のインタビューにご協力いただきまして誠にありがとうございました。この場をお借りして御礼申し上げます。
【アドバンスドソリューション事業部 PLMグループ】

事例紹介実際にSpaceClaimの利用で楽になった作業について、多田様にご紹介いただきました

ケース1

ANSYS Workbenchで固定条件を与えるため、モデルのボルト締結部を面分割するという作業です。
面分割したい面を選択し、スケッチ機能で締結部に円弧を描くだけで面として認識されます。この分割面はそのままANSYS Workbenchに転送され、そこに境界条件を定義できるようになります。

標準CADのデータをSpaceClaimで読み込み、スケッチ機能で円弧を描く(1) 。このデータをANSYS Workbenchに転送すると、分割面が緑色で認識されているのがわかる(2) 。

ケース2

破断しそうな箇所の応力を緩和するために、フィレットの半径を大きくするという作業内容です。プロパティで設定された半径の値を変更するだけで、形状を変更することができます。

初期のFillet Rを選択して、プロパティ内の半径を0.3mmから1.5mmに変更。これだけで形状の変更が可能だ。

ケース3

メッシングトラブル回避のためモデルのヒーリングを行っています。
不正なエッジや微小面といったメッシングトラブルの原因を検索して修正する作業が、ごく短時間で行えます。


不正なエッジ(上図左)や微小面(同中)も「修復」ツールで検索と修正が短時間にできる。


修正前(左)と修正後(右)でメッシング結果の違いは明らかだ。

「CAEのあるものづくりVol.16 2012」に掲載

国内及び海外のSpaceClaim適用事例を紹介しております。
一部の事例詳細につきまして、PDF形式でダウンロード可能です。
カタログ・技術資料ダウンロードフォームからお申込ください。

CONTACT US

ご購入・レンタル価格のお見積り、業務委託についてはこちら。

お問い合わせ

ページトップへ