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解析事例

株式会社 十川ゴム

生産現場でのPlanetsX立ち上げに向けて

解析結果を適切に評価するには、現場の知見が不可欠

左から勝井様、小松様

十川ゴム様は、多様な用途に対応するゴムホースをはじめ、樹脂ホース、ゴムシートなどを製造・販売するゴムメーカー様です。創業は1925年。85年間の歴史の中で培ってきた技術力を活かし、自動車・ガス・住宅設備・医療・家電・重機械等、数多くの業界で活躍されています。
今回は、生産部門の設計を担う、研究開発部の皆様にお話を伺いしました。

今回お話いただいた方々
研究開発部 開発課
チーフ 小松 領平 様
勝井 達也 様

(以下、お客様の名前の敬称は省略させていただきます。)

CAEを使って、生産現場を技術的に支援

まず、皆様のご担当業務をお聞かせ下さい。

小松・勝井

当社は多種多様なゴム・樹脂製品の開発や製造、販売を行っています。我々が所属する研究開発部は、徳島、奈良、堺にある生産拠点への「設計支援」という位置づけで、様々な活動を行っています。解析業務もそうした設計支援の1つで、工場からの依頼を受けて、CAEを駆使しゴム及び樹脂製品の設計検証などを行なっています。

設計者にも使いやすいAnsysWorkbench環境を高く評価し、PlanetsXを導入

この度Ansys ProfessionalとPlanetsXを導入いただきましたが、その経緯についてお聞かせ下さい。

小松

樹脂流動解析ソフトについては、他社のソフトも検討していたのですが、解析専任者向けのものが多く、設計者向けとしては敷居が高いと感じました。その点、PlanestXはAnsys Workbench環境で解析することが可能で、我々のような解析を専門としていない設計者レベルでも比較的簡単に利用できると感じました。また、ベンチマークの結果も良好で、我々が求めている解析結果をPlanetsXで充分に得ることが可能と判断しました。

勝井

Workbenchは非常に操作性も良く、実験データを使って材料物性を入力するのも簡単にできたのが良かったです。またPlanetsXの操作性もWorkbenchと類似しているため、有効活用できるのではと感じました。

具体的には、どんな解析テーマに取り組まれるのですか?

小松

まずは基本的な樹脂の流動特性や、金型の温度分布などを評価したいと考えています。また弊社では、ガラス繊維入りの樹脂材料を扱うことが多いので、将来的には繊維配向解析のオプションも必要になってくると考えています。

解析結果を効果的に活用していくために、生産現場での導入を計画。研究開発部はCAEの技術面でサポート

ツールの導入とは別に、弊社の立ち上げ支援サービスについてもご相談いただきありがとうございます。御社の導入計画についてお聞かせください。

小松

自分自身が樹脂流動解析の理論やソフトの使い方を理解できていない状態では、解析結果を適切に評価することができないと感じたので、まずは解析ソフトの使い方ということで相談させて頂きました。また、樹脂流動解析結果を活かすためには、実際の成形と樹脂流動解析結果をリンクさせる必要があると考えていまので、PlanetsXに関しては、研究開発部だけでなく実際の成形を知る工場の設計者担当者にも理解してほしいと考えています。
まずは、CAEを普段利用している我々がPlanetsXの操作や、樹脂流動の理論など、樹脂流動解析を行う上で必要な知識を習得して、工場の設計担当者に展開していければと考えています。

今日はその第一譚として、個別セミナーを受講いただきありがとうございました。いかがでしたか?

勝井

PlanetsXの操作方法と材料物性値の取得方法について受講しましたが、どちらも解りやすかったです。
Ansys Workbenchはとても使いやすいですね。ただ、材料物性については、取得サービスを利用したほうが良いかもしれないと思いました。

今後はどのような内容を受講されたいですか?

小松

我々はAnsysの構造解析を普段利用しているので、有限要素法の基礎知識はあると思います。しかし樹脂流動解析固有の知識、例えば樹脂特有の運動力学、成形条件の設定などの知識はまだ不足しているので、その部分を強化したいです。

また、将来的には工場向けの勉強会も計画しているのですが、工場の設計担当者はCAE初心者がほとんどなので、操作方法だけでなく、有限要素法の初歩から理解してもらう必要があります。理論を全て詰め込むのは現実的ではないのですが、今の段階では結果のコンター図だけを見ても工場の設計担当者は理解するのは難しいと思います。
ただ、現場の成形でも考慮する必要のある残留ひずみ、残留応力、金型冷却については工場の設計担当者の方が深い知識を持っていますので、これらの要素と理論をリンクさせて、樹脂流動解析の理解を深めていければ思います。
盛り込みたい内容は沢山ありますが、時間の都合もありますので、これから現場とすり合わせながらプランを立てていく予定です。

今はスピード勝負の時代。CAEを駆使して、開発期間の短縮・費用低減を実現させたい。

製品や当社へのご意見、ご要望があればお聞かせください。

勝井

今まで、様々な理論講座を受講してきましたが、専門ではないため基礎レベルと言われているものでも難易度が高いと感じます。専門分野外の方に向けた力学の初歩講座等の講習会を調整してもらえると助かります。

了解しました。お客様に合わせて内容を変えられるのがオンサイトセミナーの良いところですので、ご要望があればぜひご相談ください。

小松

今までは経験と勘が頼りのものづくりがメインで、開発段階での設計の手戻りが多く時間と費用が無駄になることがよくありました。近年の開発はスピードが勝負です。CAEを駆使することで設計の手戻りをできるだけ減らし、開発期間の短縮及び開発費用の削減につなげたいと思います。
解析精度の向上ために、我々もスキルを上げていかなくてはならないし、ソフトウェアの質の向上も期待しています。

2012年8月にも最新バージョンがリリースされましたが、PlanetsXは、今後もお客様の声を反映させながら定期的にバージョンアップを続けていきます。どうぞご期待ください。また、弊社も技術サポートはもちろん、オンサイトセミナーや教材作成、解析用のひな型作成などの各種サービスを行っています。CAE立ち上げのお役に立てれば幸いですので、ぜひお気軽にご相談ください。

株式会社十川ゴム 小松様、勝井様には、お忙しい中インタビューにご協力いただき、誠にありがとうございました。この場をお借りして御礼申し上げます。
【メカニカルCAE事業部 マーケティング部】

「CAEのあるものづくりVol.17 2012」に掲載

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