配管システムからコンプレッサへの振動効果

TNO Institute of Applied Physics

TNO応用物理研究所、振動によるパイプの疲労を予測するためにANSYSを使用

近ごろTNO応用物理研究所は、ANSYSと自作のソフトウェアを組み合わせて、コンプレッサー・マニフォールドにおける振動を評価する使い易いシステムを作成しました。

TNO応用物理研究所の流体構造力学部門(オランダのDelft)は、市販および専有の解析ソフトウェアを組み合わせることにより、コンプレッサー・マニフォールドの振動によって生ずる配管システムの故障を予測するための、配管設計の技術を発展させました。これらの振動は、配管、振動ダンパー、ならびにシリンダー、ディスタンス・ピース、クロスヘッド・ガイドのようなコンプレッサー部品に影響を与える特殊で複雑な形態の振動です。大きな往復コンプレッサーを持つシステムでは、コンプレッサー・マニフォールドの振動は、システムの疲労による破損につながります。

PULSIM(振動シミュレーション)という名前でも通っている同部門は、振動を考慮した完全なコンプレッサー・マニフォールドの詳細モデリングに基づいて、配管の重要パーツにおける振動応力を予測する高度で正確な方法を開発しました。「この方法は非常に正確ですが、使い易さおよび時間的制約も念頭に置きました。」とPULSIMのプロジェクト・エンジニアーAndre Eijk氏は述べます。「我々は、使い方が簡単でかつ解析時間を短縮できるような機能を含めました。」

この方法に使用される自作のソフトウェアもPULSIMと呼ばれます。これは同部門によって開発された振動研究(配管システムにおける圧力波のシミュレーション)用シミュレーション・プログラムです。またこの方法に採用されている市販ソフトウェアは、ANSYS設計/解析シミュレーション・ソフトウェアです。ANSYSは、PULSIMによって予測される振動力に対する機械的(振動)応答を決定するために使用されます。2つのソフトウェア・プログラム間のリンクが、計算された振動力の振幅と位相をANSYSに送ります。

配管専門家

流体構造力学部門は、配管システムの力学を専門にしています。そのメンバーは、この27年間で約600の研究を行いました。これらの研究は一般に民間事業に対するコンサルタント業務として行われ、化学および石油化学の分野におけるあらゆる種類の適用業務を含んでいます。研究活動の目的は、プラントの建造前に現場での故障を予測することにより、危険で高くつく事故を防止することです。

一般に、配管システムは往復コンプレッサーやポンプまたは遠心ポンプに接続されています。これらの装置は振動を起こすことがあり、振動は音響共鳴によって配管システム内で発達する場合があります。振動によって誘導された力は、配管の軸方向に働きます。音響共鳴の固有周波数が配管の機械的固有周波数と一致すると、配管システムは疲労破損を引き起こすことになり得ます。

コンピューター・シミュレーションは、以上の条件をソフトウェア内にて再現するようになっています。シミュレーションの結果が材料の耐久限度を超える応力を示した場合には、たとえば、支持物の増強、取付剛性の変更、またはシステムへの粘性減衰の追加のために、システムを再設計することができます。

振動問題の起こらない信頼性の高い設備を設計するために、振動研究と機械的応答研究が、設計工程のなかに取り入れられるようになりました。PULSIMで行われる振動研究では、振動によって生ずる振動力も含めて、配管システムおよび流体機器内の圧力波と流速波が計算されています。最悪のケースも考慮されています。これらの結果を用いて、振動レベルが極小になるように、配管システムのレイアウトと振動ダンパーの設計を調整することができます。振動力の振幅および位相に関する計算結果は、機械的応答研究で使用するために保管されます。

コンプレッサー・マニフォールドの振動

気体輸送産業、気体貯蔵産業、および加工産業では、往復コンプレッサーが使用されます。振動ダンパーおよび関連配管作業も含めたコンプレッサーは、設備の中心であることが多く、高い信頼性を持って確実に動作しなければなりません。コンプレッサー・マニフォールドの振動は、コンプレッサー近くの配管、コンプレッサー・シリンダー、ディスタンス・ピース、クロスヘッド・ガイド、および振動ダンパーに生ずる振動であり、安全で信頼性の高い運転を不可能にすることがあります。

特に大型コンプレッサーの場合に、コンプレッサー・マニフォールドの振動は重要です。コンプレッサー部品および振動ダンパーの質量が増加すると、共振周波数が低くなり、振動力、コンプレッサー・シリンダー内の気体力、またはコンプレッサーの不均衡な力とモーメントによって付勢されやすくなるためです。コンサルタント業務をとおしてPULSIM部門は、振動力によってコンプレッサー・マニフォールドの振動が付勢され疲労破損にいたった事例をいくつか見てきました。

コンプレッサー・マニフォールドの振動に関する解析方法の一例として、PULSIMの技術者たちは、ドイツにある岩塩ドーム内で天然ガスの地下貯蔵に使用されている1485kWコンプレッサー・システムの解析を紹介しています。この方法は、コンプレッサー・マニフォールドの振動研究法を妥当性検査するために使用されています。

このコンプレッサーは、4つのシリンダーを持つ一段コンプレッサーでした。クランク室の両側にシリンダーが1対ずつあり、このシリンダー対は共通の吸込振動ダンパーを持ち、各シリンダーは吐出し振動ダンパーを持っていました。振動研究と機械的応答研究が、数百メートル先の配管まで含めた完全なシステムについて行われました。コンプレッサーの周りの配管についてもコンプレッサー・マニフォールド振動の詳細な研究が行われました。

当システムについて、ディスタンス・ピースおよびクロスヘッド・ガイドが、シェル要素によってモデル化されました。4つのディスタンス・ピースおよび4つのクロスヘッド・ガイドの有限要素モデルは、約20,000のシェル要素から構成され、110,000の自由度を持っていました。クランク室、コンクリート基礎、および両者間の接続は、無限大の剛性を持つものと想定されました。

このような高い自由度および計算すべき多数(1,500以上)の応答は、普通なら法外な解析時間を意味します。これを避けるために、PULSIMの技術者たちは、各要素の集合を、ANSYS内のマトリックスによって表現される単一の要素に凝縮するサブストラクチャリングと呼ばれる技法を用いました。そして、このサブストラクチャリングがコンプレッサー・モデルのために、いくつか作成されました。サブストラクチャリングの利用により、自由度の数を減少させて解析時間を短縮することができました。各サブストラクチャリングの自由度(マスター自由度と呼ばれる)は、剛性や質量の精度に大きな損失を出すことなく、わずか数百にまで減少させることに成功したのです。

当コンプレッサーの振動研究は、ダンパーの接続部にオリフィス板が取り付けられている限り、振動レベルは許容限界内に収まるということを明らかにしました。しかし、大きな振動によって生ずる力が振動ダンパーに作用するため、コンプレッサー・マニフォールドの固有周波数は付勢されました。追加手段を講じないと、システムに疲労破損が生ずる可能性があります。繰返し応力と振動を許容レベルまで低下させるために、振動ダンパーの音響設計を変更し、新たに配管支持材を増設しました。

振動測定による妥当性検査

コンプレッサー部品の有限要素モデルの精度を評価するために、モーダル解析を実行して固有周波数および振動モードを求めました。これらの測定の結果、最も重要な(低い)固有周波数については、固有周波数および振動モードの測定値と計算値の間にはわずかな誤差しかないことが分かりました。また、高振動モードでは、コンプレッサー部品のプレストレスト・ボルト連結が重要な役割を果たしていることも分かりました。

このコンプレッサー・マニフォールド振動の研究方法は、適当な費用内で実施でき信頼性の高い結果が得られます。またこの方法では、振動速度、支持物の反応、および繰返し応力が評価され、評価しやすいテーブルで結果を見ることが可能です。システムをさらに使いやすくするために、PULSIMの技術者たちは、ANSYS Parametric Design Language(APDL) を用いて、配管設計用のプリプロセッサーとポストプロセッサーをカスタマイズして作成しました。これらはANSYSのパイピングコマンドを使用しています。プリプロセッサー・データベースは、標準パイプ、ASAおよびDINフランジ、ならびにDINビームを含んでいます。ポストプロセッサーは、振動レベルおよび繰返し応力を計算し、それらを許容レベルと比較します。サブストラクチャリングも、容易に配管解析に含めることができるように、データベースに保管されており、解析のたびに有限要素モデルを作成する手間が省けます。

流体構造力学部門は4年間ANSYSを使用しています。プログラムはHewlett-Packard 9000/735ワークステーションで実行されています。Eijk氏は次のように語っています。「ANSYSは当部門の配管力学研究において重要な要素となっています。また、TNO応用物理研究所の他のいくつかの部門でも使用されています。」

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