飛行機の発電システムの設計

Sundstrand Aerospace

航空装置の試作にFEAを使用

Sundstrand Aerospace社(イリノイ州ロックフォード)は、製品開発周期の短縮化についての認識が非常に高い会社の一つです。この20年間、航空宇宙部品その他のコンポーネントの供給業者である同社は、顧客が周期の大幅な短縮を求めるのを見てきました。

「私が1977年に当地に赴いて以来、弊社が特定のコンポーネントの開発にあてる時間は1/3に短縮しました。」とSundstrand社の主任技師John Hilgers氏は語ります。

ますます厳しくなる納期に間に合わせるために、Sundstrand社では、製品設計工程の一環として、有限要素法解析プログラムANSYSを使用しています。「最適な設計を見つけるために、2〜4週間もあれば多数の解析によってスムーズな検討を行うことが可能になります」とHilgers氏は述べます。「正しいパーツを得るために、10回も解析計算を行いました。設計評価を手作業の分析および実機試験に頼っていたら、これほど多くのケースについて検討することは不可能です。」

飛行機用の電力

Sundstrand Aerospace社は、従業員数5,000人、年商7億ドルであり、様々な電気製品および機械製品を生産しています。主要な事業は商用および軍用航空機の備品ですが、魚雷その他のシステムのパーツも供給しています。

Sundstrandの典型的な製品群は、飛行機に電力を供給するために航空機エンジンの可変速度動力を定速度(周波数)動力に変換する発電システムです。もうひとつの製品は、ラム・エア・タービン (RAT) です。非常時に、RATは飛行機の底部から展開し、飛行機の機器構成に基づいて独立した電力または流体動力を供給します。FAA(連邦航空局)の規定により、今日ではすべての商用航空機がRATを装備しなければならないことになっています。「RATが実際に有効に使われたことは1〜2度しかありません。つまりこの開発が成功であったということです。」とHilgers氏は述べます。

同社は様々な航空機のために一連の操縦アクチュエーター(リニアーアクチュエーターとロータリーアクチュエーターの両方)も製造しています。最近のプロジェクトは、大手航空機メーカーの新しいコミューター機のためのスラット・アクチュエーターに係わるものであり、製品設計においてSundstrandがどのようにFEAを用いているかを示す良い例です。

スラットというのは、翼前部にある可動部のことです。離着陸時にパイロットは、このスラットを用いて翼の構成を変化させ、揚力を増加させます。スラット・アクチュエーターは、スラットを動かすものであり、翼内に取り付けられています。ここで説明しているアクチュエーターは、新型のコミューター機用のもので、直交したシャフトを持つリニアーボールねじアクチュエーターです。入力シャフトが回転すると、ボールねじの長さが変化します。この種のアクチュエーターでは、インプラント・シャフトが一方向に回されると、アクチュエーターの長さが増加し、スラットが展開されます。インプラント・シャフトが他方向に回されると、アクチュエーターの長さが減少し、スラットが引っ込められます。

この航空機は各翼に3つのスラットを持ち、各スラットにつき2台のアクチュエーターが付いています。翼の形状が一定でないため、スラットごとにわずかに異なるアクチュエーター用ハウジングが必要でした。これらのスラットの設計における1つの関心事は、ハウジングの強度でした。Hilgers氏が説明するように、「ハウジングはおもしろい形をしています。垂直な2つのオフセット・シリンダーで構成されています。そのため負荷経路が遮断され、これは応力問題につながると考えられました。」

Hilgers氏はANSYSに内蔵されているソリッド・モデラーを用いて、1つのハウジングモデルをANSYS内に構築しました。ハウジングはかなり複雑なパーツなので、それをモデル化するには約10個のプリミティブ(初期形状)を組み合わせる必要がありました。他の2つのハウジング設計をモデル化する時間を節約するために、同氏はANSYS内でパラメトリック・モデリング機能を使用したいと思いました。そして、次のように述べています。「単にパラメーターを変更するだけで他の2つのハウジングをモデル化したいと思い、パラメトリック・モデルを作成しました。しかし、一般的な形状が異なりすぎたため、それは不可能でした。」

最初のハウジングをモデル化した後、Hilgers氏はANSYSの自動メッシュ生成機能を用いて、有限要素モデルを作成しました。「ボタンを押しさえすればいいのです」とHilgers氏は述べます。そうすれば、10節点四面体要素7,900個から成る有限要素モデルが得られます。得られた結果に対して、顧客の仕様に基づいて決定された境界条件および荷重が定義されます。続いて静的応力解析が行われ、これはDEC Alphaワークステーションで約1時間かかりました。

結果は、ハウジングの強度に関する設計チームの懸念が当たっていたことを示しました。同時に、予期しない発見もありました。「パーツを通り抜ける荷重に関する私の予想は間違っていました」とHilgers氏は述べます。「確実に応力の強い部位があり、その部分を厚くしなければなりませんでした。」

ここでHilgers氏は、この問題に約1週間を費やしました。そしてプロジェクト・チームの他のメンバーである設計技師と機械技師に結果を見せ、パーツを再設計しました。新しい構成に解析を実行するのに半日かかりました。再設計を2回行い、元の応力値の高い部位の厚さを倍にすることにより、顧客の要求した荷重条件に耐えうる強いハウジング設計が得られました。

ハウジングの再設計過程で、余分な材料を除去できる部位の検出にもANSYSの結果を利用できました。「追加の半分しか除去できませんでしたが、飛行機の場合、余分なものはどんなにわずかでも除去すればそれだけ役立ちます。」

ANSYSがなかったら、Sundstrand社の技術者たちは、実機試験で亀裂が生じるまで、ハウジングに問題があることに気付かなかったでしょう。試験結果を待っていたとしたら、2〜3か月かかっていたはずです。

Hilgers氏は次のように語ります。「節約分を数量化するのは困難ですが、各試験には、数十万ドルとは言わないまでも、数千ドルはかかります。解析を行うと、設計周期の始めに2〜4週間追加されますが、多くの設計案を評価する機会が得られます。また、1日あたりのコストが高くつく設計周期の後工程が2〜4か月の節約につながります。要は、製品が向上し、顧客のスケジュールにも間に合うということです。」

20年近くに及ぶFEA使用実績

Sundstrand社の主任技師John Hilgers氏は、1977年以来ANSYSのFEAソフトウェアを使用しています。同氏によれば、FEAツールは確実に年々進歩しているといいます。しかし、技術者たちが境界条件をもっとよく理解するまで、FEAを一般性のあるテクノロジーと見なすべきではないと考えています。

質問 1977年にANSYSを使い始めてから、FEAが使いやすくなったというのは本当ですか。
Hilgers 一概には言えません。形状作成はずっと容易になりました。1977年にはANSYS Version3を用いていましたが、現在あるような対話式のモデリング機能はありませんでした。キーパンチカードを用いてバッチ形式でモデルを作成していました。対話形式はひじょうに大きな改善でした。次の大きな改善点は、FEAシステム内にソリッド・モデルを作成する能力でした。
一方、境界条件の扱いは簡単になっていません。これが、おそらくFEAの最大の難点です。境界条件の選択を間違えると、まったく使い物にならない結果しか出力されません。形状作成が容易になってきた反面、境界条件を正しく理解しないまま利用する新しいユーザー層において、適切なFEA利用ができているかどうかが問題となっています。この新しいユーザー層が、不適切な境界条件の影響を理解し正しい使い方を学べるよう、参考書となる資料をもっと充実させる必要があると思います。
質問 最近20年におけるハードウェアの変化についてどうお考えですか。
Hilgers 1977年にはANSYSをIBM 360メインフレームで実行していました。その後、次々とより優れたメインフレームにアップグレードし、1991年にDECのワークステーションに切り替えました。ワークステーションに移行したことで大きな違いが生じました。1991年にメインフレームを使っていた頃、メインフレームはバッチ実行時間の点ではワークステーションに匹敵しました。しかし結果をプロットする段になると、メインフレームはワークステーションの足元にも及びませんでした。ワークステーションでは、3次元モデルの動的な回転が可能になりました。構造全体およびその内部外部に分布する結果値を容易に視覚化できるようになりました。メインフレームの場合には、視角を推測し、それからジオメトリーが再プロットされるまで、場合によっては数分、待たなければなりませんでしたから。
質問 ハードウェア/ソフトウェア面でのFEAシステムの向上により、1977年に比べて解析を速く完了できるようになりましたか。
Hilgers かならずしも、そうとは言えません。以前と同様のモデルで検証すれば、5倍以上速いこともあります。しかし、当時私たちはもっと小型のモデルで解析を利用していました。ツールが徐々に改善され、高速化するに伴って、逆により複雑なモデルを構築するようになりました。ですからもちろん現在解析しているもので、以前なら不可能だったものもあります。
質問 FEAには他にどのような改善が見られましたか。
Hilgers 視覚化が改善しました。ANSYSを使い始めた頃、出力は単なる数値の羅列でした。応力の集中が見つかった場合には、モデルに戻り節点番号に対応する個所を探さなければなりませんでした。色分けされた応力コンター図を最初に手にしたときには、「全部の結果が一目で分かるじゃないか!!」と驚嘆したものです。

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