手頃な解析ツールが製品化に不可欠なツールに

Stein Design 社

毎年大手企業へ多くの製品を納入しているSteinDesign社は、カリフォルニアTruckeeにある小さな設計工場ですが、有限要素解析(FEA)が使用されているDesignSpaceの利用が、プラスチックを注入成型した複雑な部品を信頼性と耐久性を兼ね備えた製品とする上で重要なステップとなっています。

オーナーのMatthew Stein氏はMITのBSME出身で、長い間手計算で熱と応力解析を実施してきましたが、フローメーターとプリフィルターの複雑な部品の解析をFEAで行なった後、その有効性に気付きました。「我々は、いくつかのFE Aソフトを評価し、その操作性と正確さでDesignSpaceを選びました。我が社は小さな下請け会社で、解析専任のスタッフを確保することも、複雑なFEAプログラムを稼動させるためのトレーニングに割く時間とお金の余裕もないのです。」Stein氏はこのように述べています。Stein社ではSolidWorksで作成したアセンブリモデルを利用し、233MHz PentiumIII、256MB RAMとSCSIドライバーを搭載したTristarワークステーションで全ての解析を行ないました。

フローメーターハウジングの強度検証

カリフォルニアのRenau Electronic Laboratories of Chateworth向けに開発されたプラスチックのモジュール式フローメーターは、市販のコーヒーメーカー、自動販売機、水のろ過装置に取り付けられ、長期間の沸点に近い温圧に耐えうる設計となっています。万が一このメータが故障すれば、それを使用しているオフィス、レストラン、あるいは他の商業ビルが水浸しになってしまいます。

この事業では、溝や突起が交差する複雑な形状のプラスチック注入成型部品が製造されました。まずStein社は妥当な価格で高温に耐えうる製品を実現するために、材料に20%のグラスファイバー入りポリプロピレンを選びました。国際衛生基金が認可したこの材料は、引っ張り強度が7,200psiで、熱変形温度が285°F、またその際引っ張り強度は264psiとなります。最初の解析では、ある領域に対して圧力200psiの荷重をかけました。目標とする最大応力値は1,800psi(引っ張り強度が25%)ですが、この時フローモジュールのハウジング底辺中央にある突起物周辺に応力集中が起こり、3,152psiという値になりました。また、初期設計のフローモジュールのバーストテストでは、内側の角にある突起部分に欠陥が生じました。さらにキャップは、最大応力値が1,752psiあり、場所によっては2,102psiもありました。Stein社はその部分の強度を上げるために、装置の底にある突起物の回りにリブを付け、内側のキャップの半径を0.015inchから0.093inchに変更しました。修正後の解析では、フローモジュールハウジングの最大相当応力は1,403psiまで減少し、キャップの最大相当応力は936psiから1,092psiまで減少しました。

さらに、Steinはスナップの設計適合性も検証しました。まず、スナップのフレックスビームの長さを0.210inch、厚みを0.040inch、スナップフックを0.040inch、底面のスナップビームの半径を0.005inchとしました。そして、アセンブリ間で生じるスナップの歪みを解析するために、スナップフックの端を0.040inch反らせました。また実際のスナップの挙動を正確に再現するために、Steinはベースの水平底面を固定せず、垂直平面の一つの摩擦をなくしました。この拘束条件で、スナップアームが屈曲すると、ベースは垂直にすべります。さもないと固定された底面はスナップヘッドの屈曲部で2倍の力で抑制され、非現実的な曲げ応力が発生します。この条件での解析の結果、重要な部分の22,000psiを含め、最大相当応力値が29,249psiとなり、許容範囲を超える値が出てしまいました。そこで次に3次元モデルを修正し、フレックスビームを0.030inch薄くし、スナップフックを0.025inch減らし、底面のフィレットを0.030inch増やしました。その解析では、最大相当応力はいくつかの微小領域において10,553psiとなり、より重要な領域でも8,200psi以下になりました。このプラスチックの引っ張り強度は7,200psiですが、高いレベルの面応力は、スナップがアセンブリ間で一度曲げられるだけなので、許容範囲であると言えます。Stein氏によれば、スナップは少しのサイクルであれば、面が多少曲がることには特に問題がないということです。

DesignSpaceの利用により、Stein社はフローメーターのハウジング強度を余分なコスト増もなく最終的に225%増加させることができ、目標の安全率を達成することができました。Stein氏曰く「我々は、DesignSpaceの性能と使いやすさに大変満足しています。DesignSpaceの導入で、信頼性の高い新しい製品を開発することができるようになったとともに、設計検討や試作実験の低減により、製品の完成が早まりました。」

プリフィルター破壊の解析

多くの人々は、キッチンの水道から流れてくる水は、ろ過装置で沈殿物や不純物を取り除いてあるので、安全だと信じています。しかし、この装置に問題が発生すると飲める水ではなくなってしまいます。飲料水に沈殿物が見受けられるある地域では、3inchのディスクタイプのプリフィルターが蛇口に取り付けられていました。しかし、使用中にプリフィルターのケースに亀裂が入ったり、破損するなどの問題が続いて起こり、ネバダ州にある製造元のWarter Safety Corporation of America of Sparksは、そのプリフィルターの入ったモデルを回収せざるを得なくなりました。プリフィルターは同社にとって主力製品であり、この破壊問題の解決は緊急を要しました。同社はStein社にプリフィルターの破壊問題の解析を依託し、DesignSpaceで疲労解析が行われました。「DesignSpaceはSolidWorksで設計したモデルをそのまま利用でき、トレーニングにも時間がかかりません。その上形状変更による様々な設計案に対しての解析が即座に実行されるのです。」Stein氏はこのようにも述べています。

透明なABS(BASF Terlux 2802 TR)から作られたプリフィルターは、従来の手計算による応力解析を参考に10年前に設計されたものでした。通常多くの自治体のろ過装置は30psiから60psiの間で操作されていましたが、山岳地帯になると、100psi以上の圧力で使用されているケースもあります。またメインフィルターカートリッジの出口には水量調整の穴があり、使用中にはプリフィルターは制限いっぱいの圧力と水流がハンマーのような挙動を示す振動に支配されてしまいます。ただし新たな設計をするにもNSF認定や、透明性という視覚的な問題、メインフィルターハウジング(ABS)との超音波溶接互換性を維持するために、材料には十分な選択肢はありませんでした。

DesignSpaceの使用前に、材料変更に対してベンチテストとフィールドテストが実施されました。プリフィルターの基本材料は特に透明性は要求されませんが、ABSメインフィルターハウジングとの超音波溶接を考慮して、ABS、アクリル系、PC/ABSの混合に制限されていました。フィールドで失敗したカバーは、フィルターの検査上、透明性が必要なので、アクリル、ポリエステルまたはポリカーボネートのABSで作ることになりました。Stein氏は強度が高く頑丈なポリカーボネートのカバーを鋳造し、テストを行ないました。以前のフィールドの失敗は、カバーの溝の内側にある鋭角部分(成形の構造上、フィレット化ができない)から亀裂が生じるために起こっていました。Stein氏は頑丈なポリカーボネートは、圧力集中による亀裂の減少により、疲労抵抗を大幅に改善するだろうと確信しました。

Stein氏は「最初の120psiの周期テストで、ポリカーボネートのカバーは81,000サイクルで故障が発生したのに対して、ABSのカバーは48,600サイクルで故障していたことから見て改善策になるといえました。」と語ります。しかし、その改良だけでは故障を完全に防げないため、次にSolidWorksでフィルター部分を設計し、DesignSpaceの応力ウィザードで解析を行いました。「最初の解析で、(反対側の表面のリブを除いた)プリフィルターの重要な内側の表面全体に均等に100psiの圧力を加えました。2つのパーツからなるアセンブリの接触面は“摩擦なし接触”として定義しました。モデル上で0-リングに隣り合ったモデルの表面を分けるための分割ラインを追加したことによって、プリフィルターの圧力荷重の位置を正確に指定することもできました。」

DesignSpaceに設計形状が読込まれた後、Stein氏は自動または手動の柔軟な接触面選択機能によって、適切な接触定義を行いました。計算の結果、カバーがベース(問題になったエリア)と接触する内側に存在するスロットエッジの数箇所に最大応力値の12,948psiまたはそれに近い値が出ていました。「透明なABSの引っ張り強度は6,300psiで、ポリカーボネートの強度は9,000psiなので、破損の原因を突き止めるのは簡単でした。高い応力のエリアが比較的小さいので、最初は部分的な変形が、そのエリアの応力集中を和らげていたのですが、最終的には疲労破壊を起こす原因となりました。これは短期的なバーストテストでは見られなかったことです。長期使用をすると、そのわずかな応力集中部分が亀裂の原因となり故障を招くことになるのです。」ベースのわずかな圧力がかかった安全なエリアを除いて、応力集中部分はタブの合せやその周辺部分の接触圧のかかる領域に限られていました。この領域における圧縮応力は最大応力12,948psiまで及びましたが、その残りの部分は引っ張り応力も、圧縮応力も5,750psiかそれより小さいものでした。そして、その部分での故障は見られませんでした。

次にカバーのスロットエッジの引っ張り応力を減少させるために、スロット上部の壁の厚さを0.157inchから0.250inchに変更しました。鋳造物としての許容範囲内で、厚みがカバー底部のフランジの下へ追加されました。応力をカバースロットとボトムフランジの間をつなぐ円柱に均等に分配するために、ボトムフランジの厚さは0.200inchから0.300inchに増やされました。さらに、応力集中部分の強度を高めるために、カバーの中心部分に浅いリブを付け加えました。このようにSolidWorksで次々と更新した形状をDesignSpaceで再度解析したところ、最終的に非常に良い結果が出ました。スロットエッジの最大応力は、12,948psiから7,950psi〜9,250psiの間に低減されました。

「DesignSpaceは従来の方法のままでは大惨事を招きかねない故障を解決してくれました。FEAにより強度が40%改良されたことを考えれば、推奨されているモールド変更を行ない、しかるべきベンチマークと実地テストをクリアした後にプリフィルターモデルを再度市場に投入することができるでしょう。」

本文はANSYS Solution Volume 3, Number 3 に掲載されております"DesignSpace in a Small Design Shop"を転載したものです。

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