油田掘削装置の解析(2)

Baker Hughes 社

石油および天然ガスの掘削における絶え間ない挑戦のひとつとして、地表下で何が起きているか、即ち、削岩機の刃がどのように岩を削り、石油や天然ガスが何処にあるかを見極めることがあります。そして、この挑戦が油田掘削装置産業そのものと言えるでしょう。掘削装置の製造やその利用も、掘削そのものと同様複雑で難解なものです。そして、これらを克服し、環境条件や油井の地形に関わらず100 %の気密性を達成することは挑戦なのです。かつてない深さまで油井を掘削しなければならないため、Baker Hughes 社の1 事業部門であるBaker Atlas(米国テキサス州ヒューストン)のエンジニア達はシール材を超弾性体としてモデリングするという研究的プログラムを実践する必要がありました。地中8 km の深さでは、圧力は25,000 psi (1,666 気圧)、温度は200 ℃にも達します。Baker Atlas の研究チームにとって最大の挑戦は、掘削機の粗い曲面をなしている内側表面のために、適切な材料を見出し密封シールを設計することでした。

Baker Atlas でシールの製造を担当したメカニカル・エンジニアのEyadAmmari 氏の談:「通常は、異なる形状や寸法による複数の試作シールを設計し、製造部門へ渡し、製造部門が試作品を仕上げねばなりませんでした。ですが、試作品の組立、試験および試験結果の検証には最低でも6 週間を必要とし、これらを繰り返すことは非常に経費が掛ります。」

Baker Atlas にとって、不必要な試作品の製造および繰り返し作業を取り除くことは重要な課題でした。Ammari 氏と同社における破壊及び応力の解析エンジニアであるDr.Saeed Rafle はまさにこれを成し遂げたのでした。

Ammari 氏の談:「最終的に我々が製造したシールは5番目の設計によるものでした。ですからその以前には4 種類の設計案が出されコンピュータレベルで徹底的に解析されたのです。」

解析にはANSYS/Mechanical が用いられました。ひとつのプロジェクトのために、4つの試作品を実際に製造していたら、そのモデリングと製造に要する経費は膨大なものになっていただろうとAmmari 氏は指摘しています。「さらに重要なのは、設計や解析の報告など、通常必要とされる情報交換や設計変更に必要な期間を含めても、すべての作業を約1 か月で成し遂げたことでした。ANSYS を用いての解析を採用する方が遥かに設計検討が早いのです。」


図1.シール有限要素モデル

シールの形状は明らかにシンプルですが、複雑な非線形性を含んでいました。Ammari 氏は、18,300 個の超弾性要素を含む総数で20,000 要素からなる有限要素モデルを用いました。Ammari 氏の談:「ファイルサイズはかなりなものでしたが、計算時間を1 時間に収めることができました。我々は、3 自由度のみを持つ要素でモデリングする方法を用いました。地層からの原油あるいはガスを不純物の混入なしに採取するためには掘削機の正常な運転が必要であり、シールは重要なのです。掘削時に何らかの流体(泥水)が油井から浸透すれば、掘削サンプルは全く無意味なものとなります。」つまり、Baker Atlas は以下の事柄を確証しなければならなかったことを意味します。

  • シールは圧力差に耐え気密性が保たれていること
  • シールの外側表面における接触圧の分布は如何なるものか
  • 設計が耐え得る最大圧力差はどの程度か

Dr.Saeed Rafle の談:「これらのことは3 次元非線形超弾性解析を実施しなければ不可能でした。動作環境は正確には軸対称ではありません。よって、モデリングにおいてシール底面及び油井面と隣接する面に変位拘束を与え、油井および泥水に直面するすべての側面に圧力荷重を与えました。」問題とするエラストマー材シールは1インチ厚で人間の手ほどのサイズでした。「地中深くでは、この形状が、掘削機と掘削される岩の表面との間で気密性の高いシールの役目を果たすように変形します。シールに働く圧力は数千psi (数百気圧)であり、これは地層圧と油井内圧との圧力差よりも若干高いものとなります。ANSYS による解析は、我々の装置のサンプリング能力を改善し最適化するために大いに役立ちました。このことは我々の顧客を満足させ、我々のサービス収入を増加させます。我々はシールが健全に機能することを100 %確証しなければならないし、現に実践しているのです。」


図2.シールの応力分布

解析種類


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