ハイブリッドパワーモジュールの粘弾性解

Motrola

粘塑性解析がDFAを支援

Motorola社の技術者たちは、ハイブリッド電源モジュールの製造を最適化するために、ANSYSの粘塑性解析機能を使用しています。

高電流電源モジュールのパッケージングに関する残りの難題の1つは、はんだに係わるものです。はんだはモジュール内の多くのコンポーネントを接続する役割を果たします。たとえば、銅のベース・プレートを酸化アルミニウム (Al2O3) またはアルミニナの隔離層と接続します。これまでのところ、はんだは継ぎ目として弱く、モジュールの故障は多くの場合はんだ境界面の割れによって生じた熱経路の破断に起因していました。

室温でもはんだの融点の半分以上ですから、はんだの変形においては、クリープ過程が支配的となります。したがって、ハイブリッド電源モジュールのメカニカルパッケージングにおいては、クリープの理解が非常に重要になるのです。Motorola社(アリゾナ州フェニックス)半導体製品課のハイブリッド電源モジュール (HPM) オペレーション・チームでは、有限要素法解析 (FEA) ソフトウェアANSYSを用いて、はんだの粘塑性解析を行いました。

解析は様々な動作条件における、異なるタイプのはんだの信頼性を評価する上で役立ったばかりでなく、組立て時におけるはんだと銅製ベース・プレートの反応を予測することにより、チームのDFA(組立て用設計)アプローチを支援しました。これにより、Motorola社は試作実験を省くことができたため、金型費を数千ドルも節約することに成功しました。

「私たちには製造工程でなにが起こるかを予測する手段が必要でした。」とMotorola社ハイ・パワー・モジュール・チームのリーダーJames Fusaro氏は説明します。「考えられる方法としては、従来の試作実験が挙げられますが、1つの試作品の製作につき金型費がおよそ$5,000〜$10,000かかります。1つのモジュールについて製造問題を解決するまでにいたっては、25万ドルもの費用がかかることになります。」

理論的な基盤

Motorola社は、同社のThor(トール)計画のために粘塑性解析を採用しています。この計画は、高出力工業モーター制御に使用する1,200アンペア、1,200ボルトの単スイッチ電源モジュールを作成するものです。粘塑性は時間依存の現象であり、塑性ひずみの進展は荷重速度に依存します。粘塑性解析の主要な用途は、大きなひずみ(50%以上)および変位を伴う高温金属成形です。

Fusaro氏が説明するとおり、多くの理論的背景がはんだへの粘塑性解析の適用を支持しています。「ANSYSのAnandモデルは、マサチューセッツ工科大学Lallit Anand教授の研究に基づいています。」とFusaro氏は説明します。「Anand教授の方程式は、金属の高温変形を記述していますが、教授はその功績をRiceおよびMandelの初期の研究に帰しています。」

「しかし、特にはんだに焦点を絞らせたのは、Robert Darveaux博士の研究です」とFusaro氏は付け加えます。「ミクロ構造が正確に再現できるように、博士はすべての非線形材料試験を実際のはんだ継手に対して行いました。」これは非常に重要なことでした。というのは、分散した合金および境界面における拘束が、実際のはんだ継手の耐クリープ性を、ばらのはんだ付け試料に比べて、かなり強くしていることが分かったからです。Darveaux博士の変形拘束をANSYSのAnandモデルに適用することにより、Motorolaの技術者たちは、広範な条件下におけるはんだ継手の破損を予測できるようになったのです。

Fusaro氏は、経験値と照らし合せて、このアプローチの妥当性を検査しました。ANSYSから得られた結果は、8%以内の誤差に留まっていました。

製造上の関心事

はんだの評価に粘塑性解析を使用することの利点は、ひとたびはんだの特性(たとえば、Anandのパラメーターの1つである活性化エネルギーに関して)を明らかにすれば、Motorola社はその解析を利用して、工程要件に適したはんだを特定できることです。その活用としては、はんだが銅製ベース・プレートのそり量に与える影響に関するものが一つ挙げられます。チームの技術者Pablo Rodriguez氏によると、「Thor計画のモジュールでは、銅製ベース・プレートの厚さは3mm〜5mmです。製造前に一定のそりを付けておけば、はんだ付け後の銅セラミックスのそりがなくなり平らになります。とはいってもその一定量のそりの正確な量を知るのは困難です。」

ソフトウェアではんだの変形を正確にモデル化する前に、試作実験を利用してこの問いに答えました。現在は、ANSYSを用いて、ベース・プレートの様々なそり量およびはんだ付けの影響を研究しています。試験データを得るのに約4週間かかるのに対し、ソフトウェアによる計算では約4時間で結果が求められます。解析ソフトウェアによって正しい量のそりを定義すれば、試作製作の工程を省略でき、1回目から正しいベース・プレート構成が得られます。

Rodriguez氏は付け加えます。「これは多大なコスト節減になります。異なるタイプのはんだ及び様々なそりを検討できるため、私たちは設計の工程およびはんだの信頼性という観点から設計を改善しています。」またFusaro氏は次のようにも述べています。「設計作業と工程の特性付けに粘塑性解析を用いることは、新規事業を始める私たちにとって特に貴重でした。もしそれが無かったら、莫大なコストをかけなければ、うまく機能するモジュールを作成することはできなかったでしょう。」

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