Bobcatローダーのアームの設計

Melroe Co.

FEAによりBobcat装置を最適化

Melroe社(ノース・ダコタ州Fargo)は、新しいBobcatローダーの設計中に20種類以上の試作品を作成していましたが、設計工程に有限要素法解析(FEA) を採用して以来、実験を行うための試作品の数はわずか2つに減少し、そればかりか車の品質は大幅に改善されました。たとえば、同社はFEA導入以来、FEAにおける情報に基づいて設計したコンポーネントに対しては、保証の適用を求められたことがありません。そして解析を用いてリフト・アームやフレームのような構造部材から余分な材料を見つけて除去することにより、同社は業界の同一重量クラス内でも競争力の秀でた車両を製造し続けているのです。

Melroe社はIngersoll-Randをオーナーとし、Bobcatの商標のもとに、特徴的な黄色い車輪を持つ小型の操作性の高いローダーおよび掘削機、ならびにこれらの多数の付属品を製造販売しています。同社がFEAソフトウェアANSYSの導入を決めたのは1988年のことです。他の多くの会社同様、当初Melroe社は、設計の事後解析として現場での故障を調査する手段にANSYSのテクノロジーを使用していました。

Melroe社の技術者たちは、新しいBobcat装置の開発中に設計の他の選択肢を研究する目的としては、やはり試作実験を採用していました。さらに、ひずみゲージによる旧来の試験のために、同社は現地の大学生たちを雇って、壊れるまで試験車両を乗り回させました。しかし、この方法には当然ながらかなりのコストと時間の遅れが伴います。同社の上級設計技師で解析担当者のLeslie Serrin氏は次のように説明しています。「新しいリフト・アームの設計のみを検証したい場合でも、車両全体を製作しなければなりませんでした。ローダーを製作して試験するには6週間〜2か月を要し、かなりの出費に及ぶことも異例ではありませんでした。」

Serrin氏は付け加えます。「試験車両の実験は製造性と性能の問題を検討する上で重要であり、Melroe社がそれを完全に排除することはないでしょう。しかし、新しい製品の開発に要する試作実験の削減を期待して、1991年に同社は設計サイクルへのFEAの適用を決定しました。同社の目標は、様々な設計案の評価に実験ではなく構造解析を用いることです。」

小型のローダーに託した大きな挑戦

このアプローチの恩恵を最初に受けることとなった設計は、Bobcat 700シリーズの新しいスキッド・ステアリング・ローダー773です。773はMelroe社にとって、一つの出発点となりました。トラックへの積み込み及び荷台の持上げ用に作られているため、773は他の700シリーズの車と異なり、ラジアル・アーム・ブームではなく、垂直リフト・アームを装備することになっていました。また、773は、重量のある貨物を持ち上げる際の安定性を高めるために、わずかながらも長いヒールベースを持つように設計されました。Serrin氏は次のように説明しています。「773は今までに当社で製造した最も設計を難とする車両の1つです。それは垂直リフト・アームのためばかりではありません。この車両は小型車の部類に入りますが、ずっと大型の車両と同様の機能を搭載する必要がある上に、当社が持つほとんどのアタッチメントを装備できなければなりません。その当時、技術担当副社長は開発初期へのFEAの導入を望んでおり、FEAを試すには773は理想的に思われました。」

設計技師たちは、同社所有のComputervision CADDS 4Xシステムを用いて、Bobcat 773のコンポーネントのCADモデルを作成しました。これらのモデルをIGESフォーマットで有限要素モデラーFEM(FEGS社)に渡し、そこで解析モデルを作成した後、それをANSYSに転送しました。この幾分回りくどい方法を用いたのは、当時CADDS 4XデータをANSYSフォーマットに変換するためのデータトランスレーターがまだ開発されていなかったためです。今日であれば、コネクション製品を用いてCADDS 5データを直接ANSYSに転送できたはずだとSerrin氏は述べています。

Melroe社にとって、垂直リフト・アームを扱うのは初めての試みであったため、解析作業に取り掛かる前に、定義する荷重ケースを決定しなければなりませんでした。一部は手作業で計算しましたが、試験装置の作成と実機試験の結果を必要とした荷重ケースもありました。この情報が得られた後、ANSYSを用いて773の多くの構造部材について性能の研究を開始しました。その結果わずか2か月(試験車両を1種類または2種類作成するのとほぼ同じ期間)で、27の初期設計を評価することができたのでした。

この時点で、最初の試験車両が作成されました。しかしこれがイメージしていた773に余りに近かったため、その後試験車両はもう1種類しか作りませんでした。「まったく新しい車両設計だったので、試験用に2種類しか要らないというのは異例のことでした。」とSerrin氏はその当時の驚きを語ります。「比較のために紹介すると、773機種の製造直前に設計した車両の場合、リフト・アーム構造の設計だけで12の試験車両を必要としました。」773は1992年に発売され、市場で人気を博しました。「773には構造面で非の打ちどころがありませんでした」とSerrin氏は付け加えます。

最適化のためのFEA

773機種の成功以来、Melroe社は設計ツールとしてのFEAの使用を拡大しました。今日、解析が決定的な役割を演じている分野の1つは、車体の軽量化です。Bobcatローダーは、一定の車両重量クラス内における吊り上げ能力によって格付けされるため、軽量化は同社にとって非常に重要な問題です。設計者たちは、解析結果に基づいて構造部材のうち応力の微少な部位を見つけ出し、続いてFEAの結果を指針としながら、理想的な重量が得られるまで材料を除去します。

さらにANSYS社が業界最速とされたPowerSolverテクノロジーを追加したことにより、設計最適化のために解析を使用することの実現性が高まったと、Serrin氏は述べています。直接法ソルバーではなく反復法ソルバーとして、非常に高い精度まで解を近似することにより、PowerSolverは線形静解析の実行に必要な時間を劇的に削減してくれました。

問題が大きいほど、PowerSolverによるパフォーマンスの改善は大きくなります。Melroe社の場合、平均的なモデルは、総自由度数約50,000程度となります。リフト・アーム構造の解析は、同モデルで以前には8時間を要していましたが、PowerSolverを用いると106分で解が得られました。「これにより設計最適化が現実的になります。」とSerrin氏は述べます。「材料の厚さなどを自社の製造施設で容易に変更できますので、当社では今日できる限りの最適化設計に努めています。」

Melroe社で設計にFEAを採用してから、製品の品質に顕著な改善が見られました。これは顧客からの保証請求に現れています。Serrin氏は次のように述べています。「四半期ごとに保証部門で審査を行いますが、当然自分の関係した製品がリストに載っているというのは良い知らせではありません。しかし、設計にFEAを使用してから、私たちの設計した構造体がそのリストに載ったことはありません。もしあっても、製造上の問題だったのです。」

設計ツールとしてのFEAの利点が明らかとなった後、Melroe社は社内におけるFEAの可用性の拡大に努めています。たとえば、Serrin氏がより複雑な問題に取り組めるように、設計技師たちは自ら行うモデリングの量を増やしています。4つのネットワーク・ライセンスを社内で共用しているため、よくある流れとしては、Serrin氏が解析の設定と実行を行い、担当の設計技師がその結果をダウンロードし、自分のワークステーションで後処理を行うといったことです。「ANSYSは強力なパッケージですが、さらにわかりやすいユーザーインターフェースを活用することにより、設計者たちは解析結果を自ら評価・検討することができます。」

Serrin氏は解析を強力なハイエンドツールと見なし、誰もが使用すべきものではないという認識を持っています。製品としてのANSYSも開発元であるANSYS社のストラテジーも、同氏の理念と見事に合致します。同氏は次のように述べています。「誰かにCADを教えたからといって、その人が誰にも理解できるような図面を作成できるようになるとは限りません。同じことは解析にも当てはまり、ANSYS社は常にそのことを尊重してきました。ANSYS社は『これは簡単です。誰にでもできます。』と言ったことはありません。ANSYSは、経験豊かな解析担当者が自由に使える製品です。それでいて、ANSYSのユーザー・インターフェースを用いれば、設計者でも自分の結果を調べるのに問題を感じることはありません。」

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