水中ロボットアームの設計

Johnson Engineering Corp.

水中ロボット・アームを最適化

ANSYSの自動設計最適化機能のおかげで、宇宙飛行士訓練装置における吊り上げ能力を300%改善し、重量を300ポンド (136kg) 削減することができました。

ANSYSの設計最適化機能と自社で保有している荷重解析ルーチンの組合せにより、Johnson Engineering社(テキサス州 ウェブスター)は優れた宇宙飛行士訓練用ロボット・アームを作りました。WRMS(無重力環境訓練装置遠隔マニピュレーター・システム)と呼ばれる新しいアームは、旧式のものより300ポンド (136kg) 軽くなっています。それでいながら、50ポンド (22.7kg) が限度だった以前の装置の吊り上げ能力に対し、200ポンド (90.7kg) 吊り上げることができるようになりました。

Johnson Engineeringは、Engineering Cybernetics社の技術者たちと共同で、様々なシミュレーション手法を用いてロボット・アームを再設計しました。これらの一部は従来からの方法と同じで、たとえば、有限要素法解析プログラムANSYSを用いて、非線形座屈解析および接触解析を実行しました。一方で行われた自社製の荷重プログラムとANSYSの設計最適化機能の組合せによる検証は、ちょっとした創造的なエンジニアリングであり、アームの重量を減らし吊り上げ能力を高める上で大いに役立ちました。

実物のレプリカ

WRMSは、7つのジョイントを持つ複雑なコンピューター制御ロボットです。長さは50フィート (15.2m) で、ほぼ大部分がチタン製でできています。ロボットは、テキサス州ヒューストンのジョンソン・スペース・センターにある無重力環境訓練装置の深さ25 (7.6m) フィートのタンク内で水中運転されます。同装置は、宇宙飛行士の訓練用として無重力状態をシミュレートするために使用されます。

動作においてはスペース・シャトルのアームに似ていますが、設計は多くの点で完全に異なっています。スペース・シャトルのアームは無重力において動作するように設計されているため、地上でその設計を再現することは不可能でしょう。実際、1Gのもとでは、スペース・シャトルのアームは、それ自体さえ持ち上げることができません。

ジョンソン・スペース・センターで働くJohnson Engineering社のプロジェクト・エンジニアーDavid McMahon氏は次のように説明しています。「私たちの課題は、飛行中にスペース・シャトルのアームの動作をシミュレートすることでしたが、実際には両者のアームは非常に異なります。」McMahon氏はアームの構造設計を担当しました。同氏は次のように付け加えます。「WRMSは実物と同じ体積と制御装置を持っていますが、電力ではなく油圧で作動します。」

このプロジェクトにおいてJohnson Engineering社の直面した面倒な問題の1つは、装置が多くの異なる姿勢を取り得ることです。吊り上げ能力を算出するには、リスト、ひじ、および肩のジョイントを数千もの異なる位置にしてトルクを計算しなければなりませんでした。さらに面倒であったのは、ある位置では、アームの一部が水面上に出る場合があったことです。

Johnson Engineering社は、アームの位置変化に伴う浮力変化も含めて、これらの計算を行うプログラムを作成しました。各入力(リスト、ひじ、および肩のジョイントの位置ならびに2種類ある荷重のいずれか一方)ごとに、プログラムはジョイントにかかる力とトルクを計算しました。

考えられる多くのアーム位置と吊り上げ能力の関係を調査するために、プロジェクトの技術者たちは、自社製の荷重プログラムとANSYSを組み合わせて使用しました。「ANSYSの最適化機能の使用法としては、これは異例です」とEngineering Cybernetics社の技術部長Doug Sheiding氏は認めています。「私たちは、FEA(有限要素解析)ソリューションを実行する代わりに、ANSYSのプリプロセッサーおよびポストプロセッサーを荷重プログラムと共に利用しました。」

自動設計最適化では、一般にユーザーは目的関数(たとえば、重量や体積の低減)、設計変数(部材の厚さ、材料の種類、形状)、状態変数(たとえば、許容応力レベル)を指定します。そしてユーザーの要求事項に最も適した設計を見つけるため、ソフトウェアは変数のあらゆる可能な組合せについて変更をしながら計算を行います。最適化の途中では、考えられる様々な設計の性能を評価するために、ソフトウェアにより一連の有限要素法解析が行われます。

しかし、ロボット・アームの場合、設計の各反復ごとにANSYSによって有限要素法解析を実行したわけではありません。ANSYSは、Johnson Engineering社の荷重プログラムで得られた結果をあたかも解析結果であるかのように利用しただけです。McMahon氏は次のように述べています。「私たちのプログラムが力とトルクのデータを出力し、ANSYSがそのデータを用いて各ジョイントにおける最大値を計算しました。これは重量の軽減に実に役立ちました。考えられる何千もの位置の評価が可能になったからです。」

さらに、技術者たちはANSYSを用いてアームの2つのブームに関する非線形座屈解析を行いました。比強度に優れ、塩素を含む訓練タンク内で耐食性を持つことから、Johnson Engineering社はブームの材料としてチタンを指定しました。解析は、所定の運転荷重下でこれらの部材の肉厚を最適化するために必要でした。

Engineering Cybernetics社のSheiding氏および同僚のPhilip Poll氏が、Johnson Engineering社から得たPro/ENGINEERによるブームのモデルに基づいて、これらの解析を行いました。CADデータをANSYSに受け渡した後、両氏は200ポンド (90.7kg) の最大荷重を用いてブームに対して大変形座屈解析を行いました。これらの非線形解析は、4プロセッサを搭載したSGI Challengeを用いて、ANSYSの並列処理機能を活用して実行され、各最適化計算につき解析時間を30分以下にできました。

結果に基づいて、最適肉厚の0.080インチ (2.032mm) が導き出されました。Sheiding氏は非線形座屈解析を用いて、ブーム上の大きな凹み(へこみ)もシミュレートし、使用中におけるアームの損傷の可能性を評価しました。

すべての解析は、ロボット・アームの設計と並行して行われました。解析の結果、元の設計では応力とたわみの要求事項が満たされないことが分かったため、アームのいくつかのパーツ、特にひじを構成する3つのパーツに大きな変更が行われました。Sheiding氏によれば、ANSYSとPro/ENGINEERの密接な連携およびANSYS Parametric Design Language (APDL) のおかげで、その他の設計オプションを評価することが容易になりました。

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