大観覧車の解析

Hollandia 社

高さが135 メートルもあり、有名なあのビッグベンよりも約35 メートルも高い大観覧車“British Airways London Eye ”は、かつてGeorge Ferris Jr. が製作した世界初の観覧車の76メートルを遥かに凌ぐ規模となりました。今では誰もが知っているその1,800トンの構造物は、テムズ川にある英国議会の対岸に誇らしげにそびえ立っています。そして日々訪れる約4,500名もの乗客に25マイル先までのすばらしい眺望をもたらしているのです。

この大観覧車の製作に関して最も特筆すべき点は、主請負業者が16ヶ月という短期間で、これを建築しなければならなかったことでしょう。建築家の David Marks氏 とJulie Barfield氏 がこの設計を担当し、建築事業はオランダの鉄鋼建築会社であるHollandia 社の手に委ねられました。プロジェクトを期間内に完了させるため、さらにHollandia 社は設計計算および鉄骨構造の検証を下請であるIv- Infra 社のサービスに委ねました。そこでまず第1 段階として、この画期的な建造物を構成するパーツの製造を開始するために、予備調査と解析計算が実施されました。2か月間に渡るこの予備調査の検討段階において、最終的な構造物の設計が以下の5項目に関して吟味されました。

  • 全体的な安定性
  • 疲労荷重
  • 様々な荷重に対する部品の耐久性
  • 風荷重条件下での動的挙動
  • 鋼材の静的強度

制限期間内における予備調査であったため、実現の可能性を判断する試験に対して初期段階で多くの計算が実施され、有限要素法解析(FEA)を採用することにより、その正当性が検証されました。

予備調査においてこのプロジェクトが成功裏に完遂する確証が得られた後に、そのチームはANSYS における全体構造モデルの構築を始めました。実際その解析モデルは多くの異なる要素で構成されるため複雑なものとなりました。

Iv- Infra 社Arie Lanser 氏の談:「モデルの複雑さに対処するために、我々はANSYS を用いることにしました。モデルの構築を比較的容易に行え、個々のパーツの検証を行えるからです。また、モデルのほとんどが非線形であり、ANSYS がこの領域に強いことでは定評がありましたから。」

モデルが構築された後には、構造物の疲労寿命を決定するために様々なパラメータが与えられました。動輪の運動がこれを複雑にし、回転ホイールの多くの個所に初期不整を設定しなければなりませんでした。そして疲労解析を成し遂げるため、コンサルタントがサイクル数に対する応力の関係を導きだしました。ホイールが毎時2 回転するならば、予定されている50年という期間では438,000サイクルにも達するのです。


図1.アーム結合部での応力分布

London Eye の解析における重要案件には風荷重下での構造物の動的応答もありました。Hollandia社は、乗客が乗り物酔いをすることなく、乗車が可能な限り快適であることを要求しました。そこで、各々のカプセル近傍の動輪に質量ダンパを用いて調整する ことになりました。

Lanser 氏の談:「ANSYS/Multiphysics を用いて、オランダのTNO-Bouw research institute からの助言に基づき32 個のカプセルに働く風荷重に対する動的解析を実施しました。その際、観覧車が一回転する過程で各々のカプセルに働く荷重は異なるため、320 秒間に各カプセルに働く6,400通りの荷重に関して調査をせざるを得なかったのです。そのため、計算は膨大なものとなりました。しかし、結果としてダンパのサイズや配置及び構造物の挙動を決定するために必要なデータが得られたのです。


図2.大観覧車のモード形状

全体構造モデルの構築に適しているだけでなく、ANSYS は局所的な検証を容易に行え、ギャップやバネを含むモデルに対しても強力なソルバーです。我々がANSYS を解析ツールとして選択した理由は、すべての解析が非線形であることと我々の計算を承認すべき英国の認証団体がANSYSユーザーだったという事実に依るものです。現在、London Eye がフル稼働であることにすべての関係者が満足しています。London Eye は、次世代が誇りに思うモニュメントとして既に歓迎されているのですよ。」


図3.主軸有限要素モデル

解析種類


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