ウィンドサーフボードフィンの設計

Boutnemouth University

流体の流れと構造解析の組合せで、より速いウィンド・サーフ・ボードを設計

ボーンマス大学(英国)の研究チームは、ボード下部にあるフィンの再設計に基づく、より速いウィンド・サーフ・ボードの概念を研究開発しています。一般に、このフィンは両タックで走行しなければならないため断面が対称ですが、非対称設計にすれば、流体力学的性能が向上します。研究の目標は、ユーザーの介入なしに動作する、可逆的で段階可変の非対称フィンを開発することです。

研究チームは、R&D(調査開発)活動の一環として、計算流体力学 (CFD) と非線形構造解析を組み合わせて様々な非対称フィンの設計と形状について流体力学的性能を評価する解析方法を考案しました。英国のDorsetにあるボーンマス大学の製品設計製造部の研究者Simon Fagg氏は次のように述べています。「概念の含む変数の数が多いため、従来のタンク試験では費用と時間がかかりすぎます。そこで、ソフトウェア・ツールを用いて設計概念を評価する方法を探しました。」

同研究チームの考案した方法は、ASCIIプログラムを介してANSYSの流体解析プログラムANSYS/FLOTRANと構造解析プログラムを組み合わせて使用するものです。ASCIIプログラムは、両システム間におけるデータの受渡しに使われます。つまり、FLOTRANによって計算された圧力分布がフィン構造に適用され、次に圧力により変形した形状がFLOTRANに再度戻されて流体解析を行うといものです。そして、収束するまでこの繰り返し計算が実行されるわけです。

スピードの追求

ウィンドサーフィンは1960代後半に始まりました。スポーツ自体および特に装備の進化により、ウィンド・サーフ・ボードは最も速い帆船の1つとなり、50ノット近い速度の達成が可能です。ウィンド・サーフ・ボードの最終的なパフォーマンスは、セール・アセンブリー(マスト、帆、およびブーム)およびボード・アセンブリー(ボード、フット・ストラップ、および裏側のフィン)の個々のコンポーネントに大きく依存しています。

現在大きな注目が集まっているは、さらに大きなスピードを出すために、新しいテクノロジーをいかにしてウィンド・サーフ・ボードに組み込むかということです。帆に働く横力を中和する上でフィンの役割は決定的に重要なので、研究の多くはフィンの能率改善に向けられています。1つの方向としては、可逆的非対称(キャンバー付き)フィンに係わる研究があります。

ボーンマス大学の別の研究者Xavier Velay氏は次のように述べています。「前縁フラップおよび後縁フラップを機械的にヒンジで留めたキャンバー付きフィンを作ることができます。サーファーがボード上の機構によって操作するウィンド・サーフ・ボード用フィンの試作品はすでに存在しています。しかし我々は、フィンの2つの表面間に生じる圧力の差によってキャンバー装置の動作を制御するという、異なったアプローチをとっています。この差圧は、入射角制御によって制御できます。それには、表面上を通過する流体の速度を変化させるか、またはこれら2つの方法を組み合わせて制御します。これだと、特別な起動機構の必要なしにキャンバー装置を開発することができます。」

製品が依然として開発中であるため、FaggとVelayの両氏は設計の詳細は企業秘密として明かしてくれません。しかし、一般論として、抗力を低減させる前縁キャンバーおよび所定の表面領域で生じる揚力を増加させる後縁キャンバーが設計に組み込まれることを話してくれました。1つの目標は、最適なキャンバーの位置および最大キャンバーの値を決定することであり、ここで流体と構造の連成解析が登場するわけです。

解析方法

このプロジェクトにANSYSを選んだ理由は、Fagg氏の言葉によれば、「目下の問題に合わせてカスタマイズするのが容易だったためです。また、ANSYS Parametric Design Language (APDL−ANSYSパラメトリックデザイン言語) を用いると、よく使うルーチンをマクロとして定義できるため、プログラムのサイズを縮小することができました。」

マクロに加えて、ユーザーの処理を単純化するために、システムのパラメトリック機能が利用されました。たとえば、フォイル部分、キャンバー装置、および流体様式のデータが、完全にパラメーター化されました。「これにより、ユーザー側の処理が最小限に抑えられ、作成されたコンピューター上のモデルや解析プロセスがすばやく修正できます。つまり、仮想の設計概念をすばやく評価できるということです。」とFagg氏は付け加えます。

プロセスは、関連する材料特性および流体様式とともに、フォイル部分の幾何学的特徴を定義することから始まります。このデータに基づいて、適切なメッシュを持つCFDおよびFEAモデルが、ANSYSによって自動的に生成されます。次に、連成解析を制御するASCIIプログラムが、最初のCFD解析を実行します。ユーザーが視覚的に検討できるように、結果が画面に表示されます。ANSYSの流体解析機能FLOTRANによって計算された応力分布が、自動的に構造解析のために設定された荷重として該当する要素に加えられます。これが完了すると、変位と応力のグラフが画面に表示されます。

節点の位置および変位は、解析の次段階、つまり変形した形状に対して流体解析を行うためにFLOTRANに戻ったときにアクセスできるように、配列内に保存されます。ソフトウェアはメッシュを再定義し、新しい応力分布を計算します。ASCIIプログラムは、安定した解が得られるまで、この繰り返し計算を行います。

Fagg氏とVelay氏は、様々な迎え角におけるフィン断面の解析結果と入手可能な実験値を比較することにより、この方法の妥当性を検査しました。ウィンドサーフィンその他の海上用途のために商業ベースに乗る製品を作るという最終目標のために、両氏はこのプロセスを用いて、キャンバー付きフィンのパフォーマンスに関する理解を深めつつあります。

「当初のキャンバー付き可変揚力断面は海上における特定の用途を対象としていましたが、この設計方法であれは、構造と流体の間に相互効果を持つ同様の設計問題に適用できるかもしれません」とVelay氏は述べます。「これはレース・カー用の新しいタイプのフォイル・システム、船舶用のかじ、操縦面、およびキール、ならびに小型飛行機の揚力面の開発につながるかもしれません。」

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