747型機金属部品における破壊・腐食の検査

Boeing Company

747型機の飛行適性を維持

Boeing社は、ボーイング747型機に関するメンテナンス問題を解決するために、有限要素法解析ソフトウェアANSYSの非線形機能および破壊力学機能を利用しています。

中古航空機は、いくぶん中古車に似ています。年月がたつにつれて、へこみや腐食が生じます。ただし、自動車と異なり、航空機の場合には、これらのことを見過ごす訳には行きません。しかし、小さなへこみが巨大な747機の安全にとってどれほど深刻なのでしょうか。小さな亀裂が大きく重大な亀裂に成長するには、どのくらいの期間がかかるのでしょうか。腐食を磨いても安全でしょうか。また、金属を除去すると、構造的整合性を損なうでしょうか。

Boeing社は、有限要素法解析 (FEA) ツールを用いて、これらの疑問やその他の多くの問題に対応しています。Boeing社747型機アフター・ケア・グループの構造技師Patrick Safarian氏によれば、FEAはメンテナンスや修理に関する顧客の質問に対して堅固な量的回答を与える上で役立ちます。

「顧客は問題を報告し、修理案を提示します」とSafarian氏は述べます。「私たちの仕事は、修理が許容されるか確認することです。修理が不可能なことを伝えなければならない場合もあります。顧客は修理内容を変更するか、あるいはパーツを交換しなければなりません。私たちがそのような回答を解析結果によって裏付ければ、顧客は私たちの決定に納得できるのです。」

アフター・ケア・グループは、ANSYS社の有限要素法解析プログラムANSYSを使用しています。同グループの行う多くの検査に必要な非線形解析および破壊力学の適用が可能だからです。

凹みと窪み

747型機アフター・ケア・グループは、現在製造されていない型も含めて、すべての747型機を検査の対象にしています。そのため、747型機シリーズに属する747-100、747-200、747-300、特殊性能、および短距離の各ジェット機が同グループの責任範囲に入ります。これらの航空機は、現在さまざまな商業航空会社によって所有され運行されています。中には25年もの間就航しているものもあります。アフター・ケア・グループの役割は、これらの所有者が747型機を安全かつ経済的に保守できるようにサポートをすることです。

ボーイング747型機は多数のセグメントに分かれています。そして、技術者たちは特定のセグメント(1つまたは複数)を専門に扱っています。たとえば、Safarian氏は、胴体のセクション41と42を担当しています。これは、機首から翼と胴体の接続個所まで延びる区域です。同氏と5人の技術者が、これらのセクションを担当しています。

「このセグメントは飛行のたびに応力が発生します。」とSafarian氏は述べます。「応力のレベルはパーツの強度に比べて低いのですが、何度も繰り返して応力が発生するために金属疲労に至ります。ふつう金属が破損するのは超過荷重を受けて破断するためであると考えます。しかし、低レベルの応力でも反復すれば、亀裂が生じ成長します。そして、腐食は問題を悪化させます。」

胴体に付いたへこみを調査するというSafarian氏の仕事は、同氏がどのようにFEAを利用しているかを示す良い例です。「胴体の外板は薄いアルミニウムからできており、時々へこむことがあります」とSafarian氏は言います。「私たちは、これらの凹み(へこみ)をもっと深く調査したいと思いました。どれが危険で、どれが認容できるのか。顧客にすべて修理させるべきだろうか、または頻繁に検査させるだけでよいのだろうか。」

Safarian氏はANSYSにより、へこみを含む胴体外板の一部をモデル化しました。同氏はANSYSソフトウェアの非線形機能と破壊力学機能を用いて、へこみが亀裂に至る経緯、および通常の飛行条件下における亀裂の成長速度を研究しています。

「破壊力学の適用は、ANSYSの非常に強力な要素です」とSafarian氏は言います。「構造の整合性に対する亀裂の影響は、手作業で解くには極端に難しい問題です。実を言うと、私はこれがANSYSの能力を限界まで酷使すると考えていましたが、そうではありませんでした」と同氏は付け加えます。「自分の現在の職務で、ANSYSソフトウェアで解けないような問題に出会ったことはまだありません。」

シート・トラックの腐食

Safarian氏は、解析に関する同氏の専門知識を必要とする他のグループの業務に割り当てられることがあります。最近の例としては、シート(座席)を所定の位置に保持している金属製トラック(軌道状の部材)の腐食の問題があげられます。顧客は、腐食を磨き落とすことで問題が解決できるかどうかを判断しようとしていました。今までだと、Boeing社の答えは常に「No」でした。「一般に弊社はあまりシート・トラックの再処理を許可しませんでした。」とSafarian氏は言います。「交換を求めますが、それは高価で困難な作業です。」

しかし、顧客は単なる「No」以外のことを望んでいました。交換という手段に訴える前に、トラックの整合性を損なわずにどれくらいまで削り取れるかを知りたがっていました。

非線形解析機能を持つFEAツールがなかったなら、この質問に答えることはできなかったでしょう。問題の持つ非線形性ゆえに、手作業で解くことは不可能に近かったからです。困難な着陸の際に飛行機が受けるのと同様に、トラックは厳しい荷重がかかると大きな変形を受けます。荷重はトラックの断面に分布しており、トラックの一部が塑性変形を始めると、荷重は構造体の他の部分に再分布するようになり、材料は非線形的に振る舞います。

Safarian氏は、設計仕様に基づいてANSYS上でシート・トラック断面のジオメトリーを作成しました。モデルは約5,000要素を含んでいました。同氏は対称境界条件を用い、除去する材料の量を何度も変更して構造解析を行い、極限荷重に対するトラックの反応を研究しました。

数日中に顧客への回答が用意できました。FEAの結果は、シート・トラックから多くの材料を除去すると、本来耐えるべき荷重に耐えられなくなるという当初の推奨を立証しました。しかし今回、Boeing社は、除去可能な正確な量を数量化でき、交換が必須となる時期を明示することができました。

「これがFEAを用いる主要な利点です」とSafarian氏は言います。「推奨事項を数量的に示すほうが、経験豊かな技術者の判断に基づいて決定したと言うより、顧客はずっと満足します。顧客が回答に納得し満足を示してくれれば、我々にとっても大きな満足感を覚えます。」

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