油田掘削装置の解析(1)

石油および天然ガスの掘削は地表面あるいは海底から10,000フィートから20,000フィートの深さまで及ぶのが通常となっています。この深さまで到達するためは、掘削過程でだんだん小さな穴を掘るドリルビットが用いられます。空けた穴を保持するために、同心円状に繋げられたケーシングと呼ばれる特殊な鉄製パイプが設置されます(図1)。深くなれば地層からの力は増加し、設計が適切でない場合、ケーシングが、押しつぶされたり、破裂、挫屈あるいははずれたりします。このような事態による損失は数百万ドルにもなります。

ケーシングは40フィート長の規格で供給されます。各々は両端の外側でネジ切りがなされています。油田において、ケーシングはネジ止めで結合され開口へ下ろされます。ケーシングが所定の深さまで到達したら、その場に固定されます。ケーシングにおいて最も重要な要素として、樽のような形状で、内側にネジ切りがあり、ケーシングを結合するために使用されるカップリングと称される鉄製装具があります。結合は、引張/圧縮、曲げの組み合わせとなる穴からの荷重や内圧に耐え気密性を保つものでなければなりません。コネクションの規格は米国石油学会(API:AmericanPetroleumInstitute)によって定められています。多くの油田で用いられていた従来規格のコネクションは5,000psi(333気圧)までの圧力に耐え得るものでしたが、より高圧の油田のために、プレミアムコネクションと称されるコネクションが開発されました。これら新コネクションでは、ネジ切り部のエラストマー製シール、メタル-メタル・シールおよび多重シール結合が用いられています。これらすべてが、高価であり、特殊なアクセサリー、特別な器具、運転のための人員増強を伴うものでした。また、15,000psi(約1,000気圧)もの高圧を伴う過敏かつ腐食性の高い環境下での使用でなければ、これらはすべてにおいて過剰なものでしょう。

米国テキサス州ヒューストンのGBチューブラ社(GBTubulars,Inc.)は、この複雑かつ高価なコネクションに代わるものとしてGBコネクションを開発しました。従来規格のコネクションにとっては過酷ではあるがプレミアムコネクションを用いるまでもない油田環境のために設計されました。同社は、産業界の規格であるAPIのこ歯ネジの周辺での適切なコネクションの設計を重要視しました。これらは、のこ歯ネジの規格を活用しつつAPIのこ歯コネクションにおける気密性に関する問題を解決するものでした。

以前から、同社は自社開発ソフトウェアによるシミュレーションと多くの実機試験を頼りにコネクションを設計していましたが、1993年、コネクションの設計を検証かつ最適化するための新たなツールとしてANSYS/Mechanicalを使用し始めました。より深くまでのボーリングに対応するために、実機試験を補う精度の高い解析ツールが必要になったためでした。現在、従来からの設計を洗練し、予測される最悪の荷重下でのコネクションの使用を調査し、実機試験で予測できなかった破損を説明するためにANSYSが使用されています。

油田で使用する際、カップリングはネジ切りパイプによって外向きに押し広げられます。このプリストレスは、穴からの荷重を受ける以前に、内在していた強度のかなりの部分を消費してしまいます。GBコネクションでは、図2に示すようにカップリングを補強することで問題を解決しています。コネクション中央部における肉厚をケーシング肉厚の倍にすることでプリストレスは顕著に低下、接触圧および気密性は向上し、地層からのさまざまな荷重に対する強度は維持されました。

GBコネクションの実機試験において、150℃、200トンの軸方向引張力と630気圧の内圧によって、予想もできなかった“jump-out”と呼ばれる破壊がコネクションに発生しました。GBチューブラ社は、ANSYSを用いてこの現象の再現を試みました。解析モデルは、8,556軸対称要素および30,045コンタクト要素からなるものでした。解析に際しプリストレスを含め実機試験と同様のシーケンスで33ステップによる荷重が与えられました。実際の荷重条件に近い状態で破壊を再現することができました。カップリング中央部におけるケーシングとの接触が保たれず、圧力が最初から数個のネジにおけるシールへ進入し、カップリングが外向きに押し広げられ、最終的に“jump-out”が生じました。解析は破壊のメカニズムを明らかにしました。解析から得られた知見からGBチューブラ社は目標とする荷重に耐えうるように設計のやり直しを迅速に行うことができました。

GBチューブラ社にとってANSYS/Mechanicalは強力なツールとなっています。コネクションの健全性を示すためのセールスツールでもあり、コネクションの設計サイクルを短縮するために欠かせないツールとなっています。

図2.API のこ歯コネクション(上)とTCC Butt コネクション
 
図1.油田で用いられる石油ケーシング
(軸方向に1,000倍ぐらい圧縮した図)
図3.内部圧力9,320psi におけるコネクションの破壊

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