電磁界解析温度安定性を考慮した誘電体共振器フィルタの設計

  • 材料の温度係数が変わることで、共振器フィルタの性能がどのように変化するか知りたい。
  • 温度上昇を考慮した伝送特性を評価したい。
  • 熱応力による形状変化を考慮したマイクロ波コンポーネントの設計を行いたい。

近年、電子機器の小型化による電気と熱応力の設計、マイクロ波加熱に代表される電気と伝熱・熱流体の設計等、電気特性と温度特性のトレードオフを限られた時間の中で高品質な設計を行うには複合領域を跨ぐ解析、いわゆるマルチフィジックス解析が不可欠になってきています。今回は誘電体共振器フィルタを例にマルチフィジックス解析の解析事例をご紹介します。

誘電体共振器フィルタは衛星通信、レーダなどの高出力用途のコンポーネントに用いられるため、低損失かつ適切な熱管理が必要です。設計課題の1つに高温時の電気特性の変化が挙げられます。これには適切な温度係数を有する誘電体材料を使うことで、共振器の温度特性を補償できます。ANSYSを活用した設計では、電磁界-伝熱・応力の双方向解析を行うことで、フィルタ性能上の異なる温度係数の効果を評価できます。

図1に誘電体共振器フィルタの構造と設計目標値を記載します。今回は、電気特性を求める電磁界解析「ANSYS HFSS」と、電磁界解析から得た誘電損失から発熱を求め、その発熱から応力を求める「ANSYS Mechanical」を使い、電気特性と温度特性の最適値を求めます(図2)。
今回使用した誘電体共振器のデータシート(図3)より、共振周波数の温度係数(Temperature coefficient of resonant frequency)は下記となります。今回の解析では温度係数 +6ppm/℃、+0ppm/℃、-6ppm/℃の誘電体共振器を使用して検証しています。


図1 誘電体共振器フィルタの構造と設計目標例

図2 マルチフィジックス解析を活用した設計フロー

図3 使用した誘電体共振器

結果を図4に示します。-6ppm/℃の誘電体共振器を使用することで、周波数の変化が最小になることがわかります。また、試しにデータシート仕様値以外の温度係数である-9ppm/℃の誘電体共振器で計算したところ、さらに良好な周波数特性が得られました(図5)。そのため、-9ppm/℃の温度係数を持つほかの材料を使用すれば、フィルタの性能はさらに向上するかもしれません。


図4 解析結果(温度係数 +6 ppm/℃、0 ppm/℃、-6 ppm/℃)

図5 解析結果(温度係数 -9ppm/℃)

まとめ

誘電体共振器フィルタに使用した誘電体共振器は、温度係数-6ppm/℃のものを使用することで、最適な周波数特性が得られることがわかりました。また温度係数-9ppm/℃の仕様を満たす誘電体共振器を使用することで、さらに良い周波数特性が得られることがわかります。今回ご紹介した内容はANSYSの共通操作環境である「ANSYS Workbench」を使うことで、同一モデルを使って共通GUIから電磁界解析の伝熱・応力解析に渡すことができ、その結果を電磁界解析へと、一連の解析が可能です。

ANSYSを使った設計の大きなメリットを3点挙げることで、今回のご紹介を締めくくりたいと思います。

  • 電磁界解析の損失結果から発熱を見積もることが可能です。
  • 伝熱解析による温度上昇を考慮した電気特性の解析が可能です。
  • 周囲温度と入力電力による熱応力の形状変化考慮した電気特性の設計が可能です。

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