連成解析ANSYSによるソレノイドバルブの解析 〜磁場・回路・伝熱・流体のマルチフィジックス解析〜

目次
  1. はじめに
  2. ANSYSによるマルチフィジックスシミュレーション
  3. ソレノイドアクチュエータの概要と検討事項
  4. 磁場解析(ANSYS Maxwell)
  5. 電磁界−伝熱連成解析(ANSYS Mechanical)
  6. 電磁界−流体連成解析(ANSYS CFX)
  7. 形状最適化解析(ANSYS DesignXplorer)
  8. おわりに

はじめに

磁場を発生させてアーマチュアを適切な力で所定の位置まで移動することによって動作する電磁ソレノイドは、燃料噴射装置、配電システム、自動車システム、工業システムなど様々な用途に利用されています。
電磁ソレノイドの設計には、詳細な磁気特性の把握が必要であり、その磁気特性は、ソレノイドの形状、材料、電源条件などにより変化します。また、磁気力や損失(渦電流損、コアロス)、アーマチュアの動きなどソレノイドの性能も変化し、評価の1つとなります。その為、これらの情報を得ることができる磁場解析ツールが必須であり、昨今では磁場解析のみではなく、構造、伝熱、流体解析といった異なる物理現象との連成解析のニーズが非常に高まっています。

本稿では、シミュレーションソフトウェア「ANSYS」を利用したソレノイドアクチュエータの解析を題材に、磁場解析、伝熱解析、流体解析、最適化解析との連携などさまざまな解析アプローチを紹介します。

ANSYSによるマルチフィジックスシミュレーション

ANSYSは、マルチフィジックス解析ツール「ANSYS」シリーズ製品の総称です。構造、振動、伝熱、電磁場、圧電、音響、流体、落下衝突などの物理現象や、それらを組み合わせた連成解析を、エンジニアが目的に合わせて柔軟に利用できます。ANSYS Workbench(以下、Workbench)と呼ばれる統合環境を提供しており、さまざまな分野の解析を統一された環境下で実行、連成させることができます。

ソレノイドアクチュエータの概要と検討事項

多くの電磁ソレノイドアクチュエータは、マルチターンコイル、磁性体のコア、可動アーマチュア、磁束の経路となる鉄鋼フレームなどで構成されています。アクチュエータを電源に接続すると、コイルに電流が流れアクチュエータ内部に磁束が生じ、同時にアーマチュアを閉位置から開位置に移動する磁気力が発生します。

アーマチュア、コア、フレームの鉄鋼材の磁性体には、性能を制限することがある磁気飽和(磁界強度に対し磁束密度が線形関係ではなくなる)があります。
アーマチュアに加わる磁気力は、アーマチュアとコアのサイズや形状、両者の位置関係(ギャップ量)、コイルに流れる電流値によって変化するため、それらの情報が変化した際の磁気力の変化を把握しておくことが重要です。
また、ACソレノイドなど電流が周期的に変化する場合、シェーディングコイル(くま取りコイル)を利用して、磁気力の増減を抑えることがありますが、これは変化磁束によって生じる渦電流の効果を利用したものです。

アーマチュアは、磁気力によって移動し、移動により磁気力が変化するため、解析では過渡運動効果を含めた磁場解析が必要です。またバネやダンパーといった構造体との釣り合いをも含めた解析を行うことで、より現実に近い現象を捉えることが可能です。
燃料噴射や油圧システムなど、ソレノイドバルブを使用する際には、バルブの開閉時間、開閉量とともに、それによる流体の挙動が重要になります。例えば燃料噴射では、噴射量を決定するためにバルブの開閉に伴う流量変化を事前に把握しておく必要があります。また負圧の領域では振動や管の磨耗の原因となるキャビテーション(局所的に圧力が低下することで液体が気化する現象)が発生し、振動や管の磨耗が進むと考えられていますが、流体解析を行うことで負圧領域の程度や対応策を事前に検証できます。

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